主任弁護人の山口貴士弁護士が立ち上がる。
山口弁護士「検察官の読み上げた公訴事実に対して、本年12月19日付けの通り求釈明がございます。すなわち、公訴事実第一について児童ポルノというのは有体物ですから、児童ポルノは、当該データ記録が記録されたハードディスクを指すのではないでしょうか。第二に公訴事実は株式会社メロンブックスに対して販売を委託したということですが、これは被告人が間接正犯に該当するという趣旨でしょうか。第三に児童ポルノ法第二条第三項に該当するという趣旨でしょうか。以上の点について検察官に明らかにしていただきたいと求める次第です」
裁判長「これは、審理に必要であるという趣旨ですよね」
山口弁護士「そうですね」
裁判長「検察官、これは事前に……」
検察官「頂いていないので、この場で回答は」
弁護団の壇俊光弁護士が立つ。
壇弁護士「間接正犯に関しては、今回の認否の際に必要になるのでお答えいただけませんか」
裁判長「それはいかがですか」
検察官「今日いきなりですので、ちょっと回答は。まあ、一週間もあれば回答可能かと」
裁判長「よろしいですね?」
壇弁護士「はい、それを前提に……内容が変わる可能性もありますが、現在の公訴事実の範囲で」
裁判長「では、今やりとりがありましたが、被告人に公訴事実についてお伺いします。まず、公訴事実に対して長かったと思うんですけど、内容はおわかりですね」
Tさん「はい」
裁判長「今の事実について誤っていることがあるかどうかお尋ねするのですが、いかがですか?」
Tさん「ええ、『聖少女伝説』は児童ポルノではありません。従って、私は児童ポルノを製造してはいません。提供についても児童ポルノではありませんので、提供してはいません。私は無罪です」
Tさんの力のこもった言葉で法廷は静まりかえる。
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