3DCGが新たなアニメ市場を切り開く!! CGクリエイターが語る制作費事情とこれからのアニメ

――セルルックCGを使った作品を長期で展開するというのは、どういうことでしょう?

 今、僕がモデルケースとして考えているのがNHKで放映中の『団地ともお』です。ほぼ全編セルルックCGによる制作ですが、『サザエさん』や『ドラえもん』のように長期放映できる定番アニメになりそうな予感があります。そういった作品であれば長期になればなるほどデータが貯まりますから、一からモデルを作って動かすよりも安いコストで制作できるんです。

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――確かに3DCGによる長期的な制作で、ランニングコストが安くなる利点がありますね。

 それに、最初に3DCGのモデルを作ってしまえば、アニメ制作以外に、ゲームでも同じデータを使えるし、グッズ制作にも使えます。3DCGを全面的に導入できれば、まず始めにCGのモデルを作って、そこからメディアミックスで展開することが技術的に可能になるわけです。コストも、現状よりもはるかに低く抑えることができますし。長期展開をねらった作品は一般向けか子ども向けが多く、オタク向けの作品はまだほとんどありません。メディアミックスの効果が高い市場は、がら空きになっているのです。3DCGの利点を生かすことで、その市場を切り開く可能性があるわけです。

――しかし、そういう強みがありつつ、いまだに3DCGの利用は限定的です。ツイッターでも榊さんは「CG業界はTVアニメよりもパチンコ仕事の方を選ぶ」と言っていました。たしかに、CG動画というとゲームやパチンコが主流というイメージがありますが、それはなぜでしょう?

 一番大きな理由は、ゲーム制作が(人数x作業期間で制作費を計算する)人月計算なのに対して、アニメ制作は1作品ごとの単価計算だということです。アニメの制作費は、小さい金額がたくさんの項目で並ぶことが多く、CG制作会社から見ると割の悪い仕事に見えてしまいます。人月計算のゲームやパチンコの仕事のほうが魅力的に映るんですね。

 でも、逆に言えば、単価計算の仕事のほうがコストを削減するほど儲けが増えるということでもあるんですよ。

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