3DCGが新たなアニメ市場を切り開く!! CGクリエイターが語る制作費事情とこれからのアニメ

――なるほど。ジェトリックスでは3DCGアニメを制作されていますが、アニメ業界でやっていける見通しはあったのでしょうか?

 アニメ業界の話を聞いていて、短い動画の仕事がけっこうあることがわかったんですよ。ところが、アニメ制作は労働集約型で、人手も時間もかかるので、小規模の仕事をするのに効率的ではない。そこで、そういう市場に切り込むのなら、金銭的にも時間的にも低コストなCGだろう、と考えたわけです。

――CGならアニメを安く作れるということですか?

 そうですね。一般に、海外に動画作画作業を出した場合で、テレビアニメ1話の作画コストは900万円くらい。それを完全に国内だけで賄えば、おそらく2500万~3000万円くらいになってしまうはずです。それでは採算が取れないんですね。でも、全部を3DCGにすれば、国内でも900万円以下、限界までコストを下げれば、おそらくその3分の2ぐらいの600万円にまで下げられると考えています。

――そんなに安くなるものなんですね。ツイッターでもおっしゃっていましたが、アニメ制作の予算は下がっているといいます。そこには業界の構造的な理由があるのでしょうか?

 アニメ業界のトレンドとして、深夜アニメが増えた00年代頃、クオリティを重視する流れがありました。プロダクションI.Gや初期のGONZOといった会社が、とにかく質の高い作品を作っていました。でも、いくら良い作品も、投資を回収できないと次の作品は作れません。そこで、言い方は悪いけど「数撃ちゃ当たる」で数を作るのが、その後のトレンドになった。すると、ヒットには傾向があるから、ハズレないためにどれも似た作品になってしまうんです。それで今度は、似通った作品の中で生き残るためにコスト勝負になる。

 2010年代以降は、アニメスタジオがブランディングするようになりました。京アニ【編注:京都アニメーション】やシャフトなど、「あのスタジオの制作だから観よう」と、作品よりもスタジオにファンがつく作り方になっていった。そうなると、今度はクオリティを維持するために、本数を絞って制作会社が逆ざやを出してでも作品に投資するケースが出てきました。

――すると、またコスト勝負に突入するため、アニメ制作会社としては厳しいことになる、と。

 ええ、そうだと思います。ツイッターでも言いましたが、これからのアニメ制作は3つの方向性があると思っています。

 まず1つ目は、日本国内で賄っていたレイアウトや演出、原画という、いわばアニメの設計図の部分も海外に出してしまう。今までは、ここでコストがかかっていましたから。

 2つ目は、今も大量に作られている本数を減らして、1本当たりの制作費を上げる。

 最後に、セルルックCGで作画コストを下げることです。このコストを下げるということについて誤解がないように説明すると、同じCGでもスタジオのブランディングのためにハイクオリティ志向で制作された作品は、それほど安くできないはずです。特に1クール(13話)だけの場合は、CGはコストが逆に上がってしまいます。そうではなく、CGを使った長期シリーズの作品を展開することこそが、効果的だと考えています。

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