マンガ賞乱立の謎…主催者側のメリットは“ほぼなし”なのになぜ!?

 たとえば、11年の「このマンガがすごい!」オンナ編1位の『花のズボラ飯』は、1万部売れれば御の字の近年のマンガ単行本のなかでは異例といえる、20万部に近い数数をマークしている(推定)。また、オトコ編1位の『ブラックジャック創作秘話』についても、「このマンガがすごい!」が発表となった11年の年末の1カ月の数字を見れば、発売初月の10倍以上の冊数が売れているから、こちらも影響は驚異的だ。

 この出版不況下でこれらの賞は、マンガ出版社にとっては、乗っかって盛り上げれば盛り上げるほど儲かる、お得な賞なのだ。

 それだけに、12年は集英社が、オトコ編・オンナ編でダブル受賞、11年は秋田書店がダブル受賞となり、「このマンガがすごい!」については、2ちゃんねるなどで、「癒着」がことさら言われる。

 これに関しては「たぶん、これはうわさにすぎません。『このマンガがすごい!』は、投票や集計の方法が誌面に明確に載っていますし、宝島社は昔から、『このミステリーがすごい!』など、この手の企画をたくさんやってますから。『このミス』などのブランドイメージもあるでしょうから、本が売れなくて、お金をもらわなければ立ちゆかぬようなら、賞自体はなくなるかもしれませんね。これらの名を冠した新人賞なども運営しているし、ブランドイメージ作りという意識も強いのではないでしょうか。もっともそれは、『このマンガがすごい!』だけじゃなくて、どの賞もいっしょだと思いますよ」(編集部に近いライター)とのこと。

 ただ、「上位に入賞した出版社の販売担当者が、『うちは1円も払っていないのに、なぜか上位に入ってて……?』と、取次(本の問屋)の窓口で不審がっていたという話も聞きました。業界にもわりと素直に信じている人もいるみたいですね(笑)」(同)とも話す。

 昨今の冷え込んだマンガ市場を鑑みるに、「お金を払えば1位になれるなら……」という出版社があってもまったくおかしくはない。飛び交うさまざまな思惑のなか、今後、これらの賞はどう変わっていくのだろうか。
(オオタシンイチ/Business Journal2013.01.07既出)

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