単純所持の導入は急務か? 内閣府主催「児童ポルノ排除対策公開シンポジウム」が開催される

 続いてECPAT/ストップ子ども買春の会の共同代表・宮本潤子氏は「児童ポルノ排除のための取り組みと日本の現状」と題して講演。団体の紹介から始まった宮本氏は、児童ポルノ法の成立に際して「単純製造・処罰」の二点が「後退した」と指摘。さらに、その後も改正が行われたが「いまだに単純所持禁止」は実施されていないと指摘した。そして子供を守るために「包括的で明確な定義」が必要だと強調した。この定義とは、同団体が繰り返し主張しているものだが、バーチャルなものを含んだ定義である。宮本氏はさらに「えん罪の可能性を理由に、前政権や政治家、立法府などの怠慢は許せない!」と力強く語った。

 これに対して、コーディネーターの藤原氏は「私も日本はちょっとどうなんだろうと、感じている。今日もニュースであったが、秋葉原のJKリフレが買春の温床となっている。もっと、国際的な基準に上げていかなくてはならないと、考えている」と、感想を述べた。

 最後に「児童ポルノの現状と警察における取組」というタイトルで講演したのは、警察庁生活安全局少年課児童ポルノ対策官の江口寛章氏だ。

 最初に、フィリピンにおける児童売春に絡む強姦致傷事件のエピソードに触れた江口氏は「言い過ぎかも知れないが、日本でもこのような事件はそう遠くない」と発言。その上で、児童ポルノに絡む事件は増加しているとのグラフを示した。江口氏は、技術の進化に取り締まりが追いついていないとして「必要なのは広報啓発」という考えを表明した。

 1時間ほどのパネルディスカッションの中で、ちょっと疑問に感じたのは藤原氏の述べた「国際的な基準」の部分。これまでも報じられているように、日本国内でも、どこまでが「児童ポルノ」なのか、その基準は曖昧。海外でも、何が児童ポルノかは歴史や社会背景によって、ずいぶんと違う。果たして、日本が参考基準とする国はあるのか、これを問うたところ、藤原氏は少し考えてから次のように語った。

「せめて、韓国ぐらいにはなってほしいと思います。最近、児童ポルノの単純所持も規制されたと聞いていますし、何をするにも早いと思います。お隣の国でもあるので、見習ってほしい」(藤原氏)

 実際に児童を性的搾取の被害から救出することに異論を唱える人などいないし、早急に
やる必要はある。しかし、そのための方策で、意図せぬ不幸が生じることも防がなくてはならない。まだ、問題は山積みだと感じた。

 なお、児童ポルノ法をめぐるひとつの焦点である、二次元に関する問題は、今回は言及はされなかった。
(取材・文/昼間 たかし)

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