単純所持の導入は急務か? 内閣府主催「児童ポルノ排除対策公開シンポジウム」が開催される

 全体的に言葉を選びながら、児童ポルノ法をめぐる問題の主要な論点となる「児童ポルノの定義はなんだ」という点には触れず、あくまで「ブロッキングは、現状こんな感じで実施している」という説明だけに止まった。

 やはり同協会の中でも、何をもって児童ポルノとしてブロッキングの対象とするのかは、議論が分かれるところなのか。講演後に、立石氏に聞いてみたところ、日本では議論の分かれているようなものは、ブロッキングのリストにはしていないとして、次のように語った。

「リストに掲載しているのは、明らかに性犯罪にあたるものに限っており、水着画像のようなものはリストに加えていません。やはりブロッキングの技術は、“パンドラの箱”のようなもので、技術を法律家のような人々に与えてしまうと、より攻撃的な方向へと進んでいくことを危惧しているのです」(同)

 日本のインターネット黎明期から普及に携わっていた立石氏。技術が暴走した時に起こりえる問題は、よく理解しているようだ。

 講演に続いて行われた「児童ポルノの流通・閲覧防止の強化」と題されたパネルディスカッションは、NPO法人ポラリスプロジェクトジャパンの藤原志帆子氏がコーディネーター、前出の立石氏はコメンテーターとして参加し、3人のパネリストが、それぞれのテーマについて語るミニ講演の形が取られた。

 まず、一般財団法人インターネット協会の国分明男氏は「欧米における児童ポルノ排除対策と日本の課題」というタイトルで講演。この講演の中で語られたのは「ノーティス・アンド・テイクダウン」について。これは、インターネットプロバイダが、自サーバーの管理下に児童ポルノなどの違法情報が掲載されていると通告された後に、コンテンツを削除するまでの一連の流れのこと。日本では、著作権侵害の際の削除手続きとして用語解説がなされている。

 国分氏によれば、児童ポルノについては、INHOPE(インターネットにおけるホットラインの国際的な連合組織)の共用サーバーで情報が共有され、2013年にはヨーロッパにおいて児童ポルノとされるサイトの96%が、その日のうちに法執行機関へ通報され、92%のサイトが一週間以内に削除されていると説明した。

 こうした基本を説明した後に、国分氏が問題提起したのは、ブロッキングの実施方法についてだ。インターネット協会では、児童ポルノの情報を得ると「通報リスト」を作成してインターネットコンテンツセーフティ協会に送り、リストの作成に使用するシステムをとっている。これと同時に、サイト管理者への削除要請、警察庁への通報も行われる。

「この方法では、数週間から数カ月にわたって、画像がインターネット上に晒されたままになります。まずは、画像を止めてから問題を解決するように変えていかなければならないのではないか」(国分氏)

 どうも、国分氏の問題提起の背景には、アメリカの著作権法では著作権侵害の際に、まず削除してから、削除後に発信者の異議申し立て、復活するというシステムをとっていることがあるようだ。国分氏も立石氏と共に、技術畑の出身者。ゆえにシステムは整えるが、技術は悪用される可能性も考えているために、極めて慎重な態度を取っているように見えた。

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