腐女子ライターの「もう世の中BLにしか見えない!」第4回

幸せになれる妄想ができない! 理解者を求める孤独な天才と常識人ぶった男の関係性が苦しい『SHERLOCK』

──アニメ見ても、少年マンガを読んでも、海外ドラマを見ても! 「もう世の中全部がBLにしか見えない」腐女子ライターによる、腐女子のための、コンテンツの“愛し方”。

『SHERLOCK』シーズン3予告編より。

 シーズン1が2010年に7月にイギリスで放送された『SHERLOCK』。日本では翌年の8月にNHK BS プレミアで放送された。以降、じわじわと人気を集め、今年の正月に地上波で放送されて大ヒットを果たした作品である。今回は、シーズン3のアメリカでの放送日(2014年1月19日)が決定したことを祝して、この『SHERLOCK』を取り上げたいと思う。

 アーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』を下敷きに、舞台を現代に置き換えた本作。自らを「コンサルタント探偵」と自称するシャーロックと、元軍医のジョン・ワトソンがルームシェアを始め、そしてさまざまな事件を解決していくストーリーだ。

 この『SHERLOCK』は、メインのシャーロックとジョンが、とにかく破滅しか見えない関係性で、切ないBL好きとしては非常に萌える設定なのである。

【高機能社会不適合者のシャーロック・ホームズ】
 『SHERLOCK』のシャーロック・ホームズは、高機能社会不適合者を自称するほど人間関係の構築がうまくない。明晰すぎる頭脳と、周囲を小馬鹿にする態度。そしてそれを全面に出す毒舌。人に好かれる要素がひとつもない!

 でも、私は好きだな。ひとつの才能に特化した、社会的なダメ人間。キャラとしては最高じゃないですか。完璧な天才なら相棒なんかいらないもの! 欠けたところがあるからこそ、補うべきパートナーが必要となる。思えば、BLでよくある「成績も家柄も学園トップの生徒会長」だって、「日本人の受けをある日突然誘拐する地位もお金もあるアラブの石油王」だって、家庭不和でのトラウマや、王位継承権でのいざこざで孤独感を抱えてたりして完璧じゃないもの。完璧じゃないキャラクターこそパートナーが必要で、だからこそ妄想をかき立てるんだ!

【唯一の理解者として描かれるジョン】
 では、なぜ高機能社会不適合者シャーロックは、ジョンをパートナーに選んだのか。

 それは、シャーロックは孤高の天才なんかじゃなく、誰よりも評価されたい!褒められたい! って欲求が強いからじゃないだろうか。それなのに、日頃の行いが災いして誰も彼を評価してくれない。「これで善人だったら……」と人格込みで評価される理不尽にずっと耐えてきた。そこに「さすが」「素晴らしい」とシャーロックの才能のみを素直に褒めてくれる相棒が現れたのである。シャーロックの心情を考えると、胸とかいろいろ熱くなってきません?

【ジョンは本当にシャーロックの理解者なのか】
 そして、ジョンはなぜ高機能社会不適合者のパートナーになることを選んだのか。

 そこがBL妄想的には一番おいしい部分だと思うの!

 ジョンは最初、シャーロックの殺人事件捜査に成り行きで協力する。しかし、それは成り行きなどではなく、軍医時代の戦争経験のスリルが忘れられないからではないかと、シャーロックの兄、マイクロフトに指摘される。言われてみれば、たしかに第1話で人を銃殺し「でも善人じゃなかったし」とすぐ切り替えるなど、シャーロックのキャラが強烈すぎてかすんでるけど、冷静に見直したら「こいつやべぇ……」と思う言動がチラホラ見える「常識人ぶったアレ」なのである。

 理解者が欲しかった孤独な天才と、常識人ぶったアレな男。やばい……幸せになれる妄想が全然できない! でも、幸せになってほしい! 特にシーズン2の結末が悲惨だったので、早くシーズン3で幸せな結末を見せてほしい! 私の妄想通りにならないでほしい…! BBCさん! マジでふるえて待ってます!
(にほちん)

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