声優にとってゲームの仕事は本当にオイシイのか? 明かされた声優のギャラ事情に迫る

2013.11.24

『お願い!ランキング』(テレビ朝日)の公式HPより。

 今月21日、テレビ朝日系の番組『お願い!ランキング』のコーナー「林修先生の今やる!ハイスクール」に、アニメ『ドラゴンボール』の孫悟空役などで知られる大御所声優の野沢雅子さんが出演。プロ声優のなり方やギャラ事情といった声優業界の知られざる実情を明かした。これを受けて、ネット上では「声優のギャラが安すぎる」などとして話題になっている。

 同番組では、「声優の仕事はこんなに大変!講座」と銘打ち、声優業界について野沢さんがタレントの林修氏らへの講義を実施。その内容は「声優になるのはこんなに大変!」「声優業界の収入を知ろう!」「アドリブ力を鍛えよう!」というものだった。

 まず、「声優になるのはこんなに大変!」というテーマにて、野沢さんはプロ声優になるためには声優養成学校で学ぶのが一番早い、と明言。しかし、声優学校で学んだ後もプロの声優になれるのは全体のわずか3~4%というデータを引き合いに出し、プロ声優が狭き門であることを改めて説いた。

 次に「声優業界の収入を知ろう!」という題材では、現在、若手の声優は主人公役の声優を務めたとしてもそれだけで生計を立てることは難しく、主演作品が1本だった場合はバイトをすることも多いという、これまたシビアな現状を解説。その後、番組では声優のギャラ単価が発表された。

 “1本あたりの声優の単価”(30分アニメと推察される)として図示されたものによると、下から新人の「15,000円」、続いて「16,000円」「17,000円」「2,0000円」、そして最上段が「ノーランク」(言い値で交渉可能)。これはいわゆる“ランク制”と呼ばれるもので、協同組合である日本俳優連合が定めたギャランティ規定となっている。この制度に登録した声優は、規定に沿ってギャラが決定される。一番下のギャラが1万5000円に相当するランクは“ジュニアランク”と呼ばれ、ランク制に登録した声優は、3年間ジュニアランクに属することとなる。登録後3年が経過すると、F~Aの基本ランクが付与され、最高のAランクは1本のギャラが4万5000円ともいわれている。そのため、番組で示された図はある程度省略されていると考えられるだろう。なお、野沢さんクラスの大御所声優になると、“ノーランク”としてギャラの上限がなくなり、言い値となることも明かされた。

 加えて、野沢さんは仕事の種類によるギャラの差にも言及。洋画吹き替え→アニメ→パチンコ→ゲームの順でギャラが良いとしていた。ゲームなどのギャランティについて、野沢さんは「たまらないですよ。うわっ! なんて感じで(ギャラを)頂けます」と、率直な感想を口にしていた。

 それでは、番組内では具体的に言及されなかったが、声優にとってゲームの仕事はどれくらいギャラが良いのだろうか? ゲーム業界関係者はこう語る。

「声優のギャラについては、ワード(一文)で換算する場合もあるため、一概には言えません。本当にケースバイケースです。ただ、私が関わったゲームでは、起用したのが人気声優ということもあって、1時間分収録して20万円ぐらいだったと聞いたことがありますね。ランク制によるアニメのギャランティと比較すると、声優にとってゲームの仕事は確かに割が良いものといえるのではないでしょうか」(ゲーム業界関係者)

 ワード(1文)換算とは、台本に書かれたセリフ1文当たり何円という値段を設定してギャラを算出する方法。ナレーションやゲームの仕事では、この算出方法を採用することも多い。契約内容や分量によって最終的な金額はまちまちだが、テレビ関係者によると、2時間のバラエティ番組のナレーション1本で数十万円になることもあるという。

 その後、番組は「アドリブ力を鍛えよう!」というテーマを展開。野沢さんは声優の仕事において最も必要な力はアドリブとして、実際にパーソナリティの林氏やオリエンタルラジオの中田敦彦らと共にアフレコに臨むなどをして、当コーナーは終了した。

 今回、野沢さんの口から明らかになった声優業界の裏側だが、特に声優のギャラについては一般に広く知られていないこともあり、多くの人が衝撃を受けたようだ。一方で、声優業界では近年ランク制に依らない契約も増えてきたともいわれる。過熱する人気によって活躍の場を増やしている声優たちだが、その実情はかくも厳しい。今後声優業界は変わっていくのか? これからの動向にも注視していきたい。

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