クラスメイト全員に地獄の苦しみを味あわせてやる…はずが??

スケールの小さい復讐に肩透かし…消化不良の『復讐教室』

 2人目は成績優秀の上品なお嬢様が、実はクラブ通いして気晴らしをしているということを家族にばらし、精神的苦痛を与えた。3人目は、嘘ばかりをつく男子生徒にクラス内で窃盗の疑惑を持たせて、嫌われ者にした。4人目、5人目は仲よし2人組の女子生徒仲を引き裂くというものだった……。

 復讐が成功すると、彩菜は「復讐完了」と悪魔のような笑みを浮かべて宣言するのだが、いまいち読んでいる側は達成感を味わえない。復讐をすればするほど、「これって復讐っていう大げさなものじゃなくて、単なる仕返しってくらいなんじゃないか?」という印象が強まる。

 6人目の復讐を行おうとする際には、復讐相手からこれまでの冷淡な態度について、「ごめんね」と謝られたことに感動した彩菜は、復讐を完遂するという固い決意にあっさりとブレを起こしてしまう。「おいおい……全員狩るんじゃねぇのかよ」と思いつつも、このブレが起きたことにより、物語がまた大きく動き、意図しないところでクラスメートに死者が出てしまう。死者が出たのは主人公の復讐が遠因となるわけだが、これに対して彼女は目を見開いて驚いてしまう。

 どうも彩菜は悪人になりきれていない。どうせなら死体に向かって「ざまぁみろ」の一言くらい吐き捨てて、蹴りでも入れてくれたほうが復讐した気分になり、彼女が受けていたさまざまな拷問の苦しみを共感できるのではないか。あの驚いてしまうシーンは、『復讐教室』の全体な物足りなさを如実に表すこととなった。『復讐教室』は、『ドクムシ』が放っていた絶望感に少しも届いていない。

 今後物語はどの方向へ動くのか。死者を出してしまったことで彩菜は自らの行動を懺悔し、改心していくのか。死者が出たことなんてなんのその、決意を新たに彼女なりの復讐をしていくのか。それともまったく別の展開が用意されているのか。クラスメート全員に復讐していくという物語の筋はとても面白いのだから、もっともっと過激な展開を期待したいところだ。第2巻の発売を待ちたい。
(文=Leoneko)

復讐教室(1) (アクションコミックス)

復讐教室(1) (アクションコミックス)

グロ薄め!サバイバルホラー入門としてちょうどいいのかもね。

スケールの小さい復讐に肩透かし…消化不良の『復讐教室』のページです。おたぽるは、漫画マンガ&ラノベ作品レビューの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!