“ゲーム脳”でわかるゲーム業界 第2回

「無料で遊べちまう」“バンナム商法”にスクエニも着手!? ゲーム業界を席巻する“F2P”とは?

■大作タイトルで投げ技を狙うスクエニ

square_fight.jpg

 一方のスクエニは、格ゲーで例えると“投げキャラ”。投げキャラは、高火力だがスキの多い投げ技が売りのハイリスク・ハイリターンなキャラだ。
 
 スクエニは10年度と12年度に最終赤字となったが、その一因は減損や廃棄損といった制作途中のコンテンツの見直しにある。同社はコンテンツ関連で10年度に40億円以上、12年度には80億円以上の特別損失を計上。会計的には、どのタイトルが直接損失に結びついたか明らかではないが、スクエニ関連で近年大混乱を巻き起こした作品にピンときた方もいるのでは? ユーザーからのあまりの悪評で前代未聞の作り直しとなった『ファイナルファンタジーXIV』(現在の『ファイナルファンタジーXIV 新生エオルゼア』)と、06年に発表されたものの一向に発売される様子がなく、“出る出る詐欺”とまでいわれた『ファイナルファンタジーXV』(当初は『ファイナルファンタジー ヴェルサスXIII』)。こうしたビッグタイトルにおける見込み違いが、赤字の原因になったと推察できる。

 もちろん、スクエニも『拡散性ミリオンアーサー』や『戦国IXA(イクサ)』など、着実に業績に貢献するソーシャルゲームやブラウザゲームを展開している。でも、やはり大技(=ビッグタイトル)が外れると、大きなスキ(=損失)ができてしまうという“投げキャラ”の宿命に苦しめられてしまった
 
 そんなスクエニは、現在もっぱら構造改革の途中。同社の松田洋祐社長は、自社HP(参照[外部サイト])にて、「従来のようなHD【引用者注:ハイデフィニション】ゲームのディスク単位の売り切りの収益構造が難しくなってきたこと」「ゲーム開発体制の変化を含めた柔軟な収益モデルへの対応に向かうこと」を語っている。

 その“柔軟な収益モデル”のひとつとして考えられるのが、前述のF2Pなのだ! スクエニは、最新である14年3月期第2四半期の決算説明会資料内で「デジタルエンタテインメント事業の構造改革」について触れ、可変型価格モデルへの変換としてF2Pゲームの開発を例に挙げた。これからのスクエニは、バンナムのような柔軟なタイトル展開、ビジネスモデルの転換を行う可能性があるとみていいだろう。つまり、“投げキャラ”であったスクエニが、自社の代名詞でもある美麗グラフィック・大作RPGを生かしつつ、軽いダメージ(課金)を積み重ねる“コンボ”スタイルを習得しようとしているのだ

「無料で遊べちまう」“バンナム商法”にスクエニも着手!? ゲーム業界を席巻する“F2P”とは?のページです。おたぽるは、ゲーム連載の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!