“ゲーム脳”でわかるゲーム業界 第2回

「無料で遊べちまう」“バンナム商法”にスクエニも着手!? ゲーム業界を席巻する“F2P”とは?

――ゲームが好きだ! だからゲーム業界のことが気になる!! でも、企業経営に関する難しい数字はよくわからない……。それならゲームに置き換えて考えてみればいいじゃない! 決算報告や有価証券報告書といったデータから、ゲーム会社の施策や今後の展望を分析し、ゲーム的に解説。スキップ厳禁! “ゲーム脳”のための、ゲーム業界チュートリアル!!

 10月下旬より、2014年3月期第2四半期の決算報告をゲーム会社各社が発表し、「『モンスターハンター』のおかげでカプコンが絶好調!」や「任天堂は大丈夫なのか!?」といった記事が、ネットニュースサイトなどを中心に飛び交った。だが本当に面白いのは直近の赤字・黒字だけではない! 決算報告などから株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス(以下、スクエニ)と株式会社バンダイナムコホールディングス(以下、バンナム)のビジネスモデルを比較すると、昨今のゲーム業界の潮流が見えてくるのだ!

 本稿では、スクエニとバンナム、両社のビジネスモデルを格闘ゲームキャラの戦闘スタイルに例えて比較していこう。あくまでもイメージではあるが、ある程度、両社の性格を理解してもらえるはずだ。

■少額課金でコンボを積み重ねるバンナム

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 まずバンナムのビジネスモデルは、格ゲーでいうと、いわゆる“コンボキャラ”。一撃は軽いが、コンボが始まると反撃の隙を与えずに派生ダメージを叩きこんでいく。どんな敵にも対応し、コンボの種類と派生の多様さが売りだ!

 記憶に新しい『ジョジョの奇妙な冒険オールスターバトル』(以下、『ASB』)のように、バンナム作品の多くは、少額ながら追加コンテンツのDL販売を盛り込み、課金形態の多様さと重課金の様相を見せている。これがいわゆる“バンナム商法”だ。

 そんなバンナムは、近年の経営成績に関していえば非常に優秀。直近の決算短信によると、13年4月から9月の純利益は昨年同時期と比較して23億円増の196億円。中でも、ネットワークコンテンツ、いわゆるソーシャルゲームやオンラインゲームの売上見込みに関しては50億円の上方修正を行うなど、“バンナム商法”が同社に多大な貢献をしていることが容易に想像できる。バンナムが抱える『機動戦士ガンダム』や『アイドルマスター』(以下、『アイマス』)の関連コンテンツに、ガノタやプロデューサーさんたちがたくさん投資しているんだろう。彼らには帰るところがあるんだ……。

 そして、バンナムは『ガンダム』『アイマス』『テイルズ』シリーズなどの自社タイトルへ、続々と新しい「課金モデル」を投入する頭の柔らかさを見せていった。ご存じスタミナ課金やガチャ課金はもちろん、スクール水着などのコスチューム、さらにはゲーム中のBGMのDL販売に至るまで……。パッケージの売り切りといったクラシックな収益モデルにこだわりを見せない身軽なタイトル展開が“バンナム商法”の真骨頂だ!

 一度ヒットしたタイトルがあると、そこから浮かせて連続攻撃を叩きこむエアリアルコンボのごとく、少額の課金を重ねて大きな利益を得ていく。そしてバンナムは、新たなコンボを開発するように、現在ではF2P(Free to play:基本無料)というビジネスモデルに力を入れ始めている。

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