“裸で光合成”に”第三の性”を持つキャラ――声優陣も戸惑いを隠せない『シドニアの騎士』アニメ化制作発表会

2013.11.13

(上段左より)森なな子、大原さやか、喜多村英梨、櫻井孝弘、田中敦子、坪井智浩。(下段左より)洲崎綾、監督・静野孔文、原作者・弐瓶勉、副監督・瀬下寛之、豊崎愛生(以上、敬称略)

 11月9日、東京都内にてアニメ『シドニアの騎士』の制作発表会が行われた。原作は弐瓶勉の同名マンガ(講談社「月刊アフタヌーン」にて連載中)。この日初公開の新作PVを冒頭で上映したのち、2014年の春からテレビ放映を開始すること、そしてメインキャスト16人の名前が発表された。キャストは以下の通り。

谷風長道:逢坂良太
星白閑:洲崎綾
科戸瀬イザナ:豊崎愛生
岐神海苔夫:櫻井孝宏
緑川纈:金元寿子
仄姉妹:喜多村英梨
小林艦長:大原さやか
勢威一郎:坪井智浩
落合:子安武人
ヒ山ララァ:新井里美
サマリ・イッタン:田中敦子
山野栄子:森なな子
佐々木:本田貴子
弦打:鳥海浩輔
岐神海蘊:佐倉綾音
丹波新輔:阪脩

 この日は洲崎綾、豊崎愛生、櫻井孝宏、喜多村英梨、大原さやか、森なな子、坪井智浩、田中敦子のメインキャスト8名と静野孔文監督、瀬下寛之副監督が登壇。作中のキーワード(設定)と各キャラクターをフックに、トーク形式でプレゼンテーションがなされた。

 キーワードのひとつ目はタイトルにも冠されている「シドニア」。MCを務めたタレントの鉄平は、舞台となる宇宙船「シドニア」の大きさを「全長28キロ、新宿駅から立川駅くらいまで、または新宿から大宮までも27キロだそうなので、そう考えると想像しやすい」と表現。地球が謎の異生物「奇居子(ガウナ)」によって滅亡させられた未来、人類は約600隻の「播種船」に乗って宇宙に散りぢりとなった。そのうちの1隻がシドニアである。小惑星をくり抜いて製造され、小惑星部分から資源を採取しながら航行している。

 人類を脅かす宇宙生命体「奇居子」、それに対抗するロボット型兵器「継衛」の紹介をしたあと、話題に挙がったのは「光合成」。物語開始時点でのシドニア人は、かつて食糧問題解決のために光合成できるよう遺伝子操作されている。光合成するということは、光を効率的に浴びねばならず、すなわち裸になる必要があるということだ。

 この点で注目を浴びそうなのが「シドニア」きっての巨乳キャラ、サマリ・イッタン。彼女には「戦闘時にアシストを3回成功させると、2人きりで光合成できる」旨の噂がつきまとっている。コメントを請われたサマリ役の田中敦子も、「光合成といえばサマリ、サマリといえば光合成」と答え、見どころのひとつとなりそうな気配を漂わせた。

 キャラクター設定上、異彩を放っているのは性別のない科戸瀬イザナだ。演じる豊崎愛生は「男の子でも女の子でもない第三の性を持った、そんな子で。長道くんが突然シドニアに衛人(もりと)訓練生としてやってきたときに、よくも悪くも特別な目で見られ、浮いた存在となってしまうところを、イザナはリスペクトし、話しかけ、シドニアの世界を説明して最初に友達になる」と紹介しつつ、次のようなエピソードを開陳した。

「正直、どのように演じたらよいか迷っていながらオーディションに臨んでしまって。女の子に振るのか、男の子に振るのか、どうしようかなと思いながら出した声が、“それがいいです”と」(豊崎)

 11体のクローンを演じ分ける仄姉妹役の喜多村英梨は「ひとりずつ性格の差が少しあって。アニメーションのほうでは棲み分けられるように、声質や声帯でというよりは、お芝居のニュアンスでその子たちの感情、性格を表していくようなアフレコをしているので、収録状況としては緊張します」と言い、その難度の高さを吐露。物理的に不可能でない場合は、別録りせずに続けて声を切り替えながら演じているという。仄姉妹は「最終的にはコンサートができるくらいにまで増える」とスタッフに告げられたそうだが、はたして何人になるのか……。

 また、見た目が「熊」の寮母であるヒ山ララァ役の新井里美は、ビデオメッセージで「家政婦っぽいし、『家政婦は見た!』のあの人っぽくやろうと思ってやってみたら、『ちょっと待ってちょっと待って』みたいに音響監督さんに言われてしまいプランAは失敗、すごくかわいくラブリーに演じてみたら、今度は『ちょっとイメージと違う』と言われてプランB失敗、結局、あの(笑)、自然な“熊”になりました(爆笑)。ああ、誰か助けて~」と語り、会場の笑いを誘っていた。

 声優陣が戸惑いながらチャレンジする様子も如実に伝わってくる『シドニアの騎士』、原作譲りの極限状態の世界観と個性的なキャラクターを有し、未知の領域へと発進しそうな予感がする。
(取材・文/後藤 勝)

■『シドニアの騎士』公式サイト
http://www.knightsofsidonia.com/
(c) 弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局
(c)TSUTOMU NIHEI・KODANSHA/KOS PRODUCTION COMMITTEE

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