雪菜の下着姿とかずさのバスタオル姿に悶絶!

『WHITE ALBUM2』を徹底検証! PCエロゲー版とアニメはどこが違う?

2013.11.09

WHITE ALBUM2 -introductory chapter-

 現在放映中のTVアニメ『WHITE ALBUM2』は、最近会社の買収騒ぎがあったLeaf(株式会社アクアプラス)から発売されている『WHITE ALBUM2 幸せの向う側』が原作となっている。『WHITE ALBUM2 幸せの向う側』はPS3専用のいわゆるコンシューマーゲームだ。しかし、この作品のオリジナルは18禁美少女ゲーム、いわゆるエロゲーの『WHITE ALBUM2』である。18禁美少女ゲーム『WHITE ALBUM2』は、前編の『introductory chapter』と後編の『closing chapter』の2本のソフトから成り立っていて、テレビアニメ版は全13話を予定しているということは、話数を考えるとアニメとして制作できるのが『introductory chapter』部分になるだろう。つまり、『introductory chapter』が本当の原作だ。

 18禁版からコンシューマー化する際、当然エロ要素を抜くようシナリオがリファインされる。その上、原作ファンでも再度楽しめるように追加シナリオやオープニングに新規カットを加えたりするものだが、本筋の物語は変わらない。しかし、アニメ化はどうだろう。多くの原作ありきのアニメ作品は、細かな部分は抜かして原作と大差はないが、中には丸っきり別作品になり原作ファンの不評を買うこともある。原作レイプという言葉があるくらいだ。

 原作ファンからすれば、大筋が変わらない限りコンシューマー化やアニメ化するにあたって、細かな設定の変更や全体の話数の関係上シナリオが変更された点などを見つけたりするのも楽しみ方の一つとして存在する。

 今回の『WHITE ALBUM2』はどうだろうか。ゲームは泣きゲーとしてのシナリオ完成度が非常に高く、2010年代の屈指の名作だ。『WHITE ALBUM』からの流れで、知名度もファンの数も多いこの同作がアニメ化するに至って、原作はプレイしたことがあるけど、アニメは見ていない、アニメは見ているけど18禁版はプレイしていない、という方のためにこれまで放映された回までで、どこがどう異なるか検証してみたい。
 これ以降、「原作」は18禁美少女ゲーム『WHITE ALBUM2』を指し、「アニメ版」は現在放映中の同作を指すとする。

※ここから先はゲームもアニメもネタバレになりますのでご自身の責任でお読みください。また、この記事は原作をプレイしたことがある、もしくはアニメ版を観ていることを前提に書かれていることをご了承ください。

●主題歌がアレンジされている

 主題歌だが、タイトルが原作とアニメ版で微妙に異なる。『届かない恋』と『届かない恋 ’13』だ。歌い手は上原れなで同じ。曲調などに変化は見られないが、音作りやアレンジが異なっている。『届かない恋 ’13』のドラムの音は機械的なサウンドではなく、ドラム本来の音に近いタイトな音作りになっている。Bメロでリズムがハーフダウンする際のリズムアレンジも大幅に変更されている。そして次に気がつくのがストリングスの大胆な導入だろう。特に2番からボーカルのすき間を埋めてストリングスが差し込まれ、実に壮大な雰囲気を与えている。そしてギターソロの明けのブリッジパートのようなサビの後ではブレイクになっている。

 最初にアニメ版の主題歌を聴いたとき、ややテンポが遅い印象を受けたのだが、調べてみると原作ともにBPM134だった。これは機械的ではなく全体が生々しく聞こえるために受けた印象にすぎなかったらしい。ひょっとしたら原作の方は精巧な打ち込みで作られた部分が多かったのかもしれない。

●冒頭から物語の核心を大放出!

 アニメ版第1話の冒頭、いきなり体育館での演奏シーンから始まる。演奏しているのは緒方理奈の『SOUND OF DESTINY』のエンディングパートだ。このライヴシーンは原作ファンからすれば物語の中核をなす部分でもあるので、「いきなりそこからスタートかよ?」 と思わなくもない。演奏終了後、体育館の客席側に画面が移動するのだが、何気なく物語の後半で重要となる人物と、『closing chapter』への伏線と思しき人物が映る。なんだか冒頭からネタバレ感満載で進むのだが、本編はこのままモノローグへ突入する。このモノローグがまたネタバレ満載なのだ。

 メインヒロインの1人の冬馬かずさ(以降、かずさと表記)を誰かが抱きしめ、その後ろで寂し気にたたずむ小木曽雪菜(以降、雪菜と表記)が映るシーン、その後雪が降り積もる中、誰かの背中に恋焦がれるようにもたれかかる雪菜の姿に切り替わる。しかも主人公、北原春希(以降、春希と表記)の「俺たち3人が本当に3人でいられた最後の瞬間」という独白が入る。原作ファンならこれらのシーンがどれだけ重要なシーンか分かるはずだ。冒頭3分でこの物語の性格を全て教えてしまうアニメ版の導入部分にはいささか驚いた。この導入部分を見ただけだと、人間関係ドロドロ愛憎たっぷりの鬱アニメと思うかもしれない。「真っ先に情報出しすぎじゃない?」と思ったのだが、まずは視聴者の心をがっつりとつかむ作戦だったのかもしれない。

●なかなかかわいいではないか!“サークルクラッシャー” 柳原朋

 原作では本編の開始が、第一音楽室で春希の腐れ親友、飯塚武也が藤代という男子生徒と軽音楽同好会のバンド存続についてもめているシーンから始める。この藤代という男子生徒には一応声はあてられているものの、立ち絵はない。ちなみに藤代は原作ではこのシーンだけに登場し、あとは一切出番がない。このときボーカルに誘っていた柳原朋の説明が入るのだが、彼女に対しても立ち絵はなかったのだ。だから彼女の容姿については想像するしかなかった。

 だがアニメ版では本編開始直後、もめているのが藤代ではなく柳原朋に変更されていた。当然キャラクターデザインもきちんとされている。赤系の縦巻き髪ツインテールで、鋭い目つきだけど幼顔の小悪魔風キャラクターデザインだ。ゲームでもアニメでも彼女の設定は人との関係をかき乱すサークルクラッシャーなのだが、まさにその設定がビジュアルに反映されたと言える。

●北原春希の言葉使いが妙に青臭い!?

 この物語の主人公である北原春希の性格は、冬馬かずさの言葉を借りれば「事前準備。リスク回避、安安定志向、非競争主義、脱落者ゼロ、一緒にゴール。決して人と争わず、いつも静かに笑っている。典型的委員長タイプで本当につまらないやつ」だ。アニメ版もその設定は踏襲しているものの、さらに正義感が強く、堅物さが増している感があり、おまけに青臭い一面もある。

 第一話で春希が木材を運んでいるのを雪菜に手伝わせるシーンだが、雪菜は木材を運ばせた春希に対して「私を特別扱いしないんだね」と言う。雪菜は学園のアイドルなので木材を運ばせるなんて他の男子生徒からすれば言語道断なのであろう。それに対しての春希の答えが「きみがこういう仕事を投げ出さない子だって知っているから」だ。なんだか青臭い私小説みたいなセリフで、横腹がかゆくなる。ちなみにこの木材を運ぶエピソードは原作にはない。

 また、第二音楽室でピアノを弾いていたのが冬間かずさだったと分かる予定調和のシーンで、校舎の窓からアプローチする春希の行動は原作もアニメも同じなのだが、原作ではアニメのように、かずさが落下しそうな春希の腕をつかむことはしない。「北原……何やってんだよ。このバカ」とキョトンとした表情を浮かべて窓から顔をのぞかせるだけである。

 アニメ版では落下しそうな春希の腕をつかみ、「バカヤロウ。大事な手をこんなムダなことに使わせやがって」と言う。初めてかずさの手に触れた春希の印象は、「初めて触れたそいつの手は大きくて固くて、マメだらけだった」だ。やっぱりどこか、良くも悪くも青臭い。

 非常に細かいことだが、第二音楽室を外からのぞくさい、春希が命綱として使用したがアニメ版では柔道着の黒帯だった。一方、原作では体育倉庫から引っ張り出した綱引きの綱だ。さすがに綱引きの綱には無理があると思ったのだろうか。

●雪菜がカラオケで歌う曲が変更されている

 雪菜が春希を連れてカラオケに行くシーン。これは原作もアニメ版も共通で、雪菜はここで春希にバンドに加入する意思を伝える。このシーンに入る際、雪菜の歌う姿が映るのだが、原作では水樹奈々の『深愛』を歌っているのだ。アニメ版『WHITE ALBUM』を観ていた方なら分かると思うが、『深愛』は『WHITE ALBUM』の前期オープニング曲だ。ゲームでまさかのアニメとリンクで、プレイしたファンは驚きと感動を覚えたはず。当然今回のアニメでも『深愛』を歌うことを期待していた原作ファンは多かっただろう。だが、この期待は裏切られる。アニメ版では中島みゆきの『悪女』を歌っていた。なぜ『深愛』にしなかったのか確認が取れていないが、同曲が選ばれたのは曲名が物語に何かしらシンクロすると示唆するためかもしれない。

●原作にはないお着替えシーンと入浴シーン!

 アニメ版の第2話で、春希と待ち合わせるためにバイトから急いで家に帰り、地味で世を忍ぶ仮の姿をしていた雪菜がいつもの学園アイドルの姿に戻るために着替えるシーンがある。服を脱ぎ捨て、実に無防備でかわいらしい下着姿を惜しげもなく見せてくれる。このシーンで大興奮に陥った視聴者はたくさんいると思うが、ここは原作にはない貴重なシーンだ。

 そしてもう一つ、第4話で家に泊まってギターを練習していた春希の前にうっかりシャワー後のバスタオル姿をさらしてしまう、かずさのシーン。普段はツンデレのかずさが妙にしおらしく照れる顔がかわいくて悶絶ものだったが、ここでのやりとりは原作にもあるものの、バスタオル姿はなくアニメ版のみのサービスショットだ。かずさの入浴シーンでは湯気が多くて詳細が把握しづらいのが非常にもどかしい。Blu-rayでは湯気を薄くしてほしいと切に願うものだ。雪菜よりもナイスな体をしているかずさだ。ぜひとも高いBlu-ray代を支払うファンのためにも、文字通り一肌脱いでもらいたい。
 

 アニメ版では現在第5話まで放映されたが、今回挙げた以外にも細かな状況の変更は多々あるにしろ、物語の展開はおおむね原作通りと言える。だが、どうしてもアニメは時間の制約上説明しきれない心情、要約せざるをえない場面展開が存在する。それらを補うためにもアニメだけしか観ていない方はゲームもプレイしていただきたい。ただし、18歳未満はコンシューマー版をプレイすること!

 ライヴ直前になり、倒れてしまったかずさが今後どうなるのか。原作通りなのか、別の展開を見せるのか。第6話以降を楽しみにしたい。
(文=Leoneko)

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