【後編】一本化は必然だった AnimeJapan 2014誕生への軌跡をTAFとACE両者が語る

――最後に、理想を実現するための予算の問題もお伺いしたいと思います。TAFの決算は公開されていますがACEの収支はどうだったのでしょうか? それに、今回のAnimeJapan 2014の収支見込みもお伺いできれば。

高橋 正直にいうと、2013年3月の2度目のACEで掛かった費用は2.5億~3億円くらいでして、入場券や出展料を含めてのインカムでほぼトントンか、ちょい赤字でした。今回は、現状の試算では恐らく4~5億円は掛かるので、どうしようかなあ……と思っていますよ。
 
 ただ、利益を求めるためにはやっていないので、ブレイクイーブンになればと思います。AnimeJapanがハブというか、きっかけになって、アニメのマーケットが国内外問わず盛り上がってくればよいと思います。僕らのすべきことは、誰かがやらなきゃいけないことを歯を食いしばって形にしているだけで、大事なのはAnimeJapanという器ではなく、その器に注がれる中身、ファンも出展社もビジネス関係者も主催施策も含めての中身がどうあるべきかなので、主催はそのきっかけを作るだけです。立ち上げのしんどいところは頑張りますけれど、器の中でいろんな人にとって意味のある場を作れればうれしいですね。

【インタビュー後記】
 インタビューの中で感じたのは、北上氏も高橋氏も共に抱いている、アニメ業界とファンの双方が最も喜んでくれる形をなんとか組み立てようという意志である。それぞれ、所属し月給を支払われる組織の中に身を置きながらも、2人とも自社の利益や自分の財布を、せこせこと考えようという気はまったくないのだ。彼らの頭の中には、限られた時間の中でやれることはやり抜こうという「覚悟」が詰まっているのだ。

 実は高橋氏にインタビューするのは2回目。その時の取材とは別に「この人は本当にユーザーのことを真摯に考えているのだ」と知る出来事があった。数年前に筆者が研究生として所属していた大学の学園祭で、ライトノベル作家と編集者を招いて講演会を行ったことがあった。その時に、高橋氏は一般参加で聴講を申し込んでいた。非常に申込者の多いイベントだったので混雑するのは必然。そこで学生が「関係者席を確保しておきましょうか」と連絡したところ「ユーザーの目線で見たいので」と丁寧に断られたという。

 正直なところ、AnimeJapan 2014がどのような形で開催されるのか、まだ不安なところはある。しかし、利益ばかりを追い求めるのではなく、まずは喜びを与えることを第一に考えて真摯に取り組む人がいることだけは、安心している。

 筆者は、今後もAnimeJapan 2014の動向を、引き続き注目していくつもりだ。
(取材・文/昼間 たかし)

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