【前編】一本化は必然だった AnimeJapan 2014誕生への軌跡をTAFとACE両者が語る

1311_animejapan_kitakami1.jpg東京国際アニメフェアのチーフプロデューサーを務めた北上浩司氏。

――過去2回にわたって2つの巨大なアニメイベントが同じ月に1週間ずれただけで開催されたわけですが、実際にやってみてわかったメリット・デメリットもあると思います。

北上 TAFに関しては、やはり「ターゲットが分かれてファミリーが来場しやすくなったのではないか」「作品だけでなくアニメ全体を取り上げた企画が、より見えやすくなったのではないか」という意見がありました。

 でも、今の規模を続けていくには来場者も寂しくなっていたので、そこは逆にマイナスかなと考えています。ただ、それはマイナスではありますが、過去12回、都が始めたものをなぞって続けてきたのを、真剣に見直す方向が生まれたので、非常によかったのではないかと考えています。

――やはり、来場者の減少で危機感を強めた。

北上 そうですね。翌週にやっているACEに多くのファンが行っておりますから、それは実感していました。

――TAFの過去2回の状況を見ていると、海外からは意外な国が出展したり、アニメ・マンガで町おこしを図る地方の自治体や企業のブースが設けられたり、多様性が持てていると思いました。こうしたマスではない部分に注目する試み……海外からの出展なんかは好評だったのではありませんか?

北上 そうですね。海外の出展は従来からも行っていましたが、過去2回の開催では新たな国の参加もありました。日本の会社と実際に話ができたことを、新たに参加された国の方は非常に喜んでいました。

――具体的にビジネスに結びついている事例は?

北上 去年でいうと、ナイジェリアの会社が出展されましたが、日本の作品をアフリカ地域で放映する計画が進んでいます。チュニジアでも、ある制作会社さんが具体的に現地向けにローカライズして放送する話が進んだと聞いています。

――続いてACEのほうのメリット・デメリットを。

高橋 メリットというか、やって強く思ったのは、ゼロから考えることに結果としてなったことです。もともと、アニメ業界の一大イベントとしてTAFというものがあって、僕らは一出展社として参加していた。それが、ユーザーに完全な形で届けるために今度は主催者としてイベントを開催するしかない状況になった。その時点で、僕らは全てがゼロの状態だったんです。

 それまでは、単なる出展社なので運営のことなんて考えたことはなかったし、ステージはどうあったらいいんだとか、主催として何を作ったら楽しんでもらえるのか、あるいは来てくれる人に何を用意すれば快適に過ごしてもらえるのか……すべてをゼロから考えなくてはならなかったんです。
 
 自分たちもほかのイベントでは今でもそうですが、誤解を恐れず言うと、出展社は出展して自社の利益を求めるのがゴールなので、運営のことは多分ほとんど考えません。そうじゃない立場になったときに、初めて、全体として、何が必要か、何をすべきか、何をしてはいけないか……といったことを含め、見本市、総合イベントの在り方を、あらためてゼロから自分の中で考えるきっかけになったんです。2年間やってみて、ああ、こうすればこうなる、これは求められていないのだなとか、やっぱりある程度の広さは必要だなとか、ちゃんと考えるきっかけになりました。それに、民間企業の連合体でやるので、自由度も高かった……それがメリットですね。

 それで、デメリットといえば、やっぱりひとつにはファンと業界関係者に対して不便をかけたことは間違いありません。得たモノは大きかったですけど、やっぱり2つあることで、どっちに出展すればいいのか、お客さんもどっちに行けばいいのか当然あったと思います。それは本当に申しわけなかったです。あと、民間企業の主催ということもあるので、収支的なリスクも企業が負うしかないこともデメリットでした。
 
 でもやっぱり、総論としては、これがAnimeJapanの文脈としてつながっていくターニングポイントになったのは間違いない。ですので、事の経緯はあってもACEを立ち上げたこと自体は、ポジティブに捉えています。

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