『風雲！たけし城』『セーラー服と機関銃』……80年代臭の濃ゆい『キルラキル』第4話

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――毎日、何本ものアニメが目まぐるしく放送されている現代日本。これだけ放送本数が多いと、見るのだって一苦労……。そんな悩める現代オタクのため、「おたぽる」がオリジナル作品を中心にテレビアニメ・レビュー！　これさえ読めば、気になるあのアニメのあらすじから評判までがまるわかり!!※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意下さい。

■『キルラキル』
第4話「とても不幸な朝が来た」

『キルラキル』公式HPより。

　第3話で、学園の全部長たちVS纏流子（CV:小清水亜美）という今後の物語の構図が固まった『キルラキル』。第4話から早くも無限バトルがはじまるのかどうか……と思ったら、バカ回。

　第4話は「助けてくれー殺されるー」という神衣・鮮血（CV:関俊彦）の悲鳴からはじまった。満艦飾家のママ（CV:福井裕佳梨）によって洗濯板に擦られ、ひねり絞られ、ふとん叩きで叩かれ、アイロンで伸ばされてしまう鮮血。

　それはともかく、午前4時から街中にサイレンが響き渡る今日は「ノー遅刻デー」。「本能字学園の無星生徒たちが青春のすべてをかけて学校へ向かう日」。学校までの道のりには生徒会四天王の一人・蟇郡苛（がまごおり・いら／CV:稲田徹）率いる風紀部の罠の数々が待ち受ける。午前8時30分までに登校できない生徒は即刻退学だ。

　洗濯中の鮮血を家においたまま、流子は果たして、登校時間に間に合うのか？

　最初の関門をラクラク突破する流子とマコ。そこにケガをしたクラスメイトの大暮麻衣子（CV:井上麻里奈）が現れて、流子とマコ（CV:洲崎綾）は大暮を道連れにすることにする。

　数々のトラップをくぐり抜けた流子とマコ（と大暮）は、一つ星生徒用のマンション地区で一つ星用のスクールバスを乗っ取ることに成功。しかし、マンションの住人からマシンガンの集中砲火を浴び、RPG（対戦車ロケット弾）攻撃を受けてしまう。爆風で吹っ飛んだバスはその勢いで校門に到着！！

　そこに、鮮血を届けに来た愛犬ガッツがやってきて一件落着、と思ったのもつかの間、突然、大暮が鮮血を奪い取る。実は、大暮は風紀部トラップ開発部部長で、鮮血を奪うために流子たちに近づいたのだ。鮮血を身にまとって流子とマコに襲いかかる大暮だったが、鮮血に抗われて体を動かすことができない。流子はあっさり大暮をノし、時間通りに登校！　と思いきや、目の前の学校は大暮が仕掛けたハリボテ、「ニセ学校＆振り出しに戻るトラップ」だった！

　大暮の仕掛けたトラップで、スラムより下層の海にまで落ちてしまった流子とマコ。しかし、そこで見つけたのは「お金持ち専用学校直通ロープウェイ」。登校時間まで残り1分、流子とマコが乗っ取ったゴンドラはフルスロットルで学校に向かい、そのまま、2年甲組の教室まで吹っ飛んでいく。

「纏くん、纏流子くん」

　教室で出欠を取る担任の美木杉愛九郎（CV:三木眞一郎）。教室に直撃したゴンドラから流子が出てきて返事をする。

「はい」

　第1話から続いた圧倒的な作画から、どこかで作画崩壊するんじゃないかと思われたところ、それは早くも第4話でやってきた。でも、これは崩壊じゃないよね。バカ回。このくらい気持ちよくていいのだ。とにかく止め絵を多用、変身バンクなんかは早送りになっていた。早送りの変身バンクなんて初めて観た。渾身の手抜き。動かない、でも止めた絵がよく動いている。これぞ日本アニメだわー。コンテは監督・今石洋之。作画に、すしお、吉成曜。手抜きじゃない。

　ああ楽しかった。楽しかった。とにかく楽しかった。笑いのテンポがいいアニメは、見ていてほんとうに楽しい。

　なんて素晴らしいバカ回だったのだろう。思い出したのは、『うる星やつら』とか『らんま1/2』とか、高橋留美子のドタバタ学園コメディアニメのノリだ。それを、赤塚アニメっぽい70年代的な画でやる。しかも、盛り込まれたネタには『風雲！たけし城』（トラップの数々）に『セーラー服と機関銃』（「カ・イ・カ・ン」のマコ）だ。おっさんホイホイにもほどがある。

　父の仇を追い、打倒生徒会長を誓った高校2年生のドタバタが永遠に続く。そんな“ビューティフルドリーマー”があってもいいんじゃないか。流子がいつの間にか卜部美琴（『謎の彼女X』）みたいになって恋愛要素が入ってきても大いに歓迎したいよ。2クールなんかじゃ全然足りない。ああ、幸せだ。
（文／尾野スミ）