腐女子ライターの「もう世の中BLにしか見えない!」第2回

『バチカン奇跡調査官』神父たちの“隣人愛”が、どうしても違う“愛”に見える!?

2013.10.20

──アニメ見ても、少年マンガを読んでも、海外ドラマを見ても! 「もう世の中全部がBLにしか見えない」腐女子ライターによる、腐女子のための、コンテンツの“愛し方”。

もうカトリックものってだけでダメ!

 前回は腐女子人気の高い『黒子のバスケ』を紹介したので、今回は比較的認知度の低い『バチカン奇跡調査官』(藤木稟/角川書店)を取り上げてみたいと思う。認知度が低いといっても、10月25日に発売となる『バチカン奇跡調査官 終末の聖母』でシリーズ8冊目となるし、pixivにアップされている「バチカン奇跡調査官」タグの作品数も900を超えているので、認知度が低いか微妙なところではあるけれど……。でも私の欲望に対して、その二次創作の供給が追いついていないので、これを機会に未読の腐女子には読んでほしい! 来たれ「バチ官」バブル!

【登場人物は全員敬虔なカソリック教徒】
 カソリックの独立国であるバチカン市国に申告される「奇跡」を調査し真偽を確かめる機関「聖徒の座」。そこに所属する天才科学者であり神父である平賀・ヨゼフ・庚と、古文書と暗号解読のエキスパートであるイタリア人青年神父ロベルト・ニコラス。この2人がコンビとなって、世界中から申告される奇跡を調査しに現地へ飛び、そして事件に巻き込まれるというストーリー。

 このように登場人物はほぼ全員が敬虔なカソリック教徒なので、好いた惚れただの世俗的な男女のゴタゴタは基本的に登場しない腐女子に優しい親切設定。しかも信仰に厚い平賀とロベルトのコンビは「隣人を愛せ」の教え通り、互いに信頼し、思いやり、マジで愛し合って事件を解決していく。その「愛」が博愛であり親愛、敬愛であるのはわかるのだが、世俗の汚れに浸かりきってる私にはどうにもこうにも違う“愛”に見えてしまう……。

【平賀ちゃんマジ天使ちゃん】
 本作の主人公ともいえる平賀は「ほっそりとして色白、女性にしても良いくらいの美貌の持ち主」と評されるくらいの美青年。さらに、天才的頭脳を持った科学者であり生活能力が皆無の天然。ここまで書けば勘のいい腐女子はお分かりになると思うけれど、もちろんコンビを組むロベルトは、そんな平賀のことを色々と世話を焼くしっかり者というお兄ちゃんのようなキャラクター。天然で人を疑わない平賀に対して、皮肉屋で世俗的なところもバランスがいい。このコンビが一冊通してずーっと一緒に行動するんだから……あとは、わかるよな?

【しっかり者のロベルトを振り回す無防備な平賀】
 先ほどコンビのキャラクター的役割から見る萌えポイントを説明したが、もちろん本編にも腐女子を沸き立たせるイベントが乱発!
ロベルトの過去が明かされる『バチカン奇跡調査官 サタンの裁き』では、死を予言されたロベルトに対して平賀は「私があなたを死なせなどしません」と綾波レイばりに宣言。そして実際に、罠にかかって毒蛇に噛まれたロベルトの異変に気づき、シャワールームから飛び出して(服を着ていたかは不明)傷口である太ももから口で直接毒を吸い出すのである。もちろん、救急的処置だとはわかっているけれど……けれど! これ以降も起こるイベントひとつひとつ詳しく説明して「どう思う!? これって隣人愛!?」と同意を求めたいところだけれど、まだ読んでいない方のために、ここではひかえておこう。けれど、どう読んだって“そう”としか読めないイベントが一冊に一回はあるので、ぜひ心して読んでほしい。角川ホラー文庫からではなく、ルビー文庫から出ていもなんら遜色のな いほど萌えイベント盛りだくさんだから!

 このように、キャラ、ストーリーともに魅力的な『バチカン奇跡調査官』。小説だからと未読の腐女子には、金田榮路のイラストによるコミカライズが「コミック怪」(角川書店)にて連載中なので、そちらをチェックしてもらいたい! 
(にほちん)

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