結局、大本のコンセプトとグラフィックスが魅力的で期待値が高かった分、ゲームとしての要素不足といった減点要素が多く目についてしまった。ただし、全体的にはとても親切でわかりやすく設計されており、初心者向けのゲームにはなっている。少年が歩いていると町中に浮かび上がる情景描写も、ゲーム初心者にとっては、絵本のようで楽しめる演出だろう。ゲーム慣れしている私にとっては、説明過剰でうるさいだけだったが……。
3時間程度でクリアした後の感想としては、1500円という廉価な値段相応のゲームだったな、というところ。買うだけ買ってサクッとプレイして、「イマイチだったかなあ」というだけでも、購入する価値は十分にあるだろう。なぜなら、イマイチだった「ゲーム体験」を補って余りある、背景やBGMの織りなす「雰囲気」の美しさがあった。『rain』が魅せる「雰囲気」がドツボにはまる人や、最近のゲームってなんだか難しそう……というゲーム初心者なら、最高に楽しめる一作になるかもしれない。
また、『rain』は公式でchapter4までのプレイ動画の投稿を許可している。ゲーム会社にとって、プレイ動画がユーザーによって投稿されるのは、広くユーザーに関心を持ってもらい宣伝効果が得られる一方、動画だけで満足してしまい、購入するのを辞めてしまうリスクも負っている。そんな中で、本作のように公式で公開可能範囲を指定しているのは、近年の流れに合わせた動きであるといえる。ともあれ、『rain』の雰囲気が気になる人は、ぜひ投稿されたプレイ動画を見て確認してみるといいだろう。
(文/氷魚くりあ)
『rain』
私的オススメ度:★★★☆☆
見どころ:SCEならではのハイレベルなグラフィックスとBGM
開発:Sony Computer Entertainment World Wide Studio,JAPAN Studio,PlayStation C.A.M.P!,アクワイア
販売:Sony Computer Entertainment
価格:1500円
プラットフォーム:PlayStation®3(ダウンロード専用)
現役ゲーム会社社員が本音でレビュー! SCEの雰囲気ゲー『rain』のページです。おたぽるは、コンシューマーゲーム、ゲーム、SCE、rain、SIEの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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