ウルティモ・ドラゴンの挑戦「僕はプロレスを変えた。でも、今のプロレスは好きではない」

ウルティモ・ドラゴン

■黄金時代と今、レスラーのオーラがまったく違う

──かなりポジティブに思考するタイプですね。

ウルティモ 人間は、考え方次第の部分があるじゃないですか。手術後も試合のスケジュールがあったんですが、これはプロレスの神様が「おまえは出なくていいよ」って言ってるんじゃないかと思って出ませんでした。あと、ケガをする前年に、「闘龍門」というプロレスラー育成学校をメキシコで始めたんですよ。結局、4年間は試合を休んだんですが、その間、指導や経営に専念したおかげで闘龍門も成功したのかなって。両立しようとしてたら、絶対にうまくいかなかったでしょうね。

──闘龍門は、日本でも興行として大成功しました。

ウルティモ 最初は逆上陸だったんですよ。メキシコで練習を積んだ選手たちの「発表会」という感じで。まあ、日本に持っていったら面白いなとは思ってましたけど。

──闘龍門は、ルチャを日本に持ち込むという意図もあったのでしょうか?

ウルティモ それは違いますね。自分がやってきたのは、単なるルチャリブレじゃなくて、自分なりの総合的なスタイルなんですよ。日本のスタイルをベースに、ルチャとアメリカンプロレスのいいところをミックスしたものですね。一つのスタイルしかできないという選手は育てたくなかったし、どこの国の選手ともやれるようにしてあげたかった。よく選手を育成するコツを聞かれるんですが、自分が経験してきたことをまとめて伝えただけというシンプルな話です。

──プロレス黄金時代と今のプロレスの違いも感じましたか?

ウルティモ レスラーのオーラが全く違いますね。ただ、よく昔と今とどっちがいいかと聞かれるんですけど、時代の流れだし仕方ないと思うんですよ。それはそれでね。ただ、先輩たちと試合をさせていただいて、好きか嫌いかだったら僕は昔のプロレスの方が好きですよ。良い悪いじゃなくてね。でもじゃあ、今みたいなスタイルのプロレスの流れになったのはなぜなのかって言われたら、僕が変えた部分もある。自分で変えといて、何言ってんだって思われるでしょうけど。

──今のプロレスは、過激な技の応酬が中心になっています。

ウルティモ 若いレスラーたちの試合はすごいですよ。僕は正直言って最近は体力的に落ちてきたなと自分で思っていて、ああいう試合を1回やったら2週間くらい休まないと次はできんだろうと思いますね。今の若いレスラーというのは、それくらいハードな試合をしてますよ。それはすごいと思いますね。ただプロレス本来の、巡業があって毎日試合をこなしていくという意味では、そのスタイルは厳しいかなと思います。自分がジュニアのハードなスタイルの流れをつくって、それからさらにエスカレートしているので、そろそろ軌道修正した方がいいかなと。なぜかというと、レスラーも生身の人間ですから、これ以上ハードになったら危ないという心配がありますね。

──危険な技の応酬がないと、お客さんが満足しないという側面はありませんか?

ウルティモ それはね、僕はちょっと違うと思うんですよ。日本の今の若いレスラーは、ガチガチでやればお客さんが沸くと思ってる。本来のプロレスは、ドラマを積み上げて興味を引くようなシチュエーションをつくって盛り上げるわけですよ。でも、今は興行数が少ないからドラマがつくれない。1試合だけで魅せるというのは限界があると思うんですよ。だから、瞬間的に沸かせる大技に頼った試合になるのかなと。

──先ほど、昔のレスラーはオーラが違うという話がありましたが、プロレスもスケールが小さくなってしまっているのかもしれないですね。

ウルティモ レスラーだけじゃなくて、時代の流れだから仕方ないですけどね。僕は海外に住んでるから、日本は安全で良い国だとは思いますけど、政治も何もかも周りの反応を気にしすぎてスケールが小さくなってるように感じますね。このままだと危ないんじゃないかと思いますよ。

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