「To Heart2の影響は大きかった」

ヒロイン全員が障害者の恋愛ゲーム「かたわ少女」開発チームインタビュー

かたわ少女

――開発者ブログで「かたわ少女の歴史」を読みました。ゲームの開発が呼びかけられるほど、RAITA氏のコンセプトアートには魅力があったのだと思いますが、具体的にはどういった部分ですか?

 それは人それぞれです。初期の段階で人々が魅了された理由の多くは、元絵のアイデアが実際にゲームを作りたくなるほど異国情緒にあふれていて、ワクワクするような際だった内容だったという点にあると思います。また、今の日本の高校という舞台もなじみやすいもので、それでいて自由な想像の余地を残していました。キャラデザインもバラエティに富んでいて、多くの人たちが少なくとも1人はお気に入りのヒロインを見つけることができました。元気っ子キャラが好きな人は「笑美」に興味を抱く一方、ツンデレキャラが好きな人は「静音」に引かれる、といった具合です。障害というアイデアはつかみとしては非常に有効でした。本当に珍しいものだし、潜在力を秘めていました。プロジェクトが最初に立ち上がったとき、障害というテーマにどのようにアプローチすべきか、誰もが異なる考え(荒々しい抜きゲーから、「narcissu」のような地に足の着いた現実的な鬱ゲーまで)を持っていました。

――開発にあたっては、どのような形でコミュニケーションを取っていたんですか? オフラインで会合を開くこともあったのでしょうか?

 コミュニケーションは、主に掲示板(フォーラム)とIRCという2つの手段が使われました。掲示板は決まった情報を書き留めるには非常に役立ちました。一方、IRCはもっと自然な形で議論をするために徹底的に活用しました。掲示板は事務所のホワイトボードのようなもので、IRCは自分たちが仕事をする事務所そのもののようなものでした。開発中、常に話し合いを続けるというわけです。すべての開発者はIRCに毎日出入りをしていました。時差のために多少の困難はありましたが。

 開発者同士がニアミスをしたことは何度かありましたが(数時間違いの差で別の飛行機に乗ったなど)、実際にオフラインで会って話をしたのは2回だけです。とても珍しいことで、偶然の出来事でした。すべての作業はオンライン上で行われています。

――「かたわ少女の歴史」によれば、07年の時点で一度、開発は停滞しました。それでも制作を続けようと思った理由はなんでしょうか?

 07年に起きた重大な問題は、ライターはいても絵がまったくないということでした。いつか絵の描ける人が加わってくれるかもしれない、という希望だけで作業を続けていたようなものでした。その後、奇跡的に6人のイラストレーターが加わってくれました。こういう厳しい時期を「かたわ少女」プロジェクトが乗り越えられたのは、ほかの開発者仲間に対する責任感のためだと思います。誰かがプロジェクトから脱落したら、これまでに作り上げた成果を無駄にし、ほかのみんなをとても苦しい立場に追いやることになります。これは一種の仲間意識につながったといえるかもしれません。

――開発にあたって参考になった日本のゲームなどはありますか?

 どの開発者も作業のやり方には外部からいろんな影響を受けています。プロジェクト全体にとって最も影響の大きかった2つの作品を上げると、「To Heart2」と「narcissu」だと思います。前者はイラストに、後者はテキストに影響を受けました。

 絵描き集団がプロジェクトに加わったとき、最初に決めたことの1つがゲーム中の絵柄でした。各人がそれぞれの流儀を持った絵描き集団ですから、なんらかの共通の基準を決める必要がありました。いくらかの議論を経て、甘露樹(leafのイラストレーター)氏の作品を彷彿とさせる絵柄に落ち着きました。絵描きたち全員がとてもリスペクトしている作家です。「To Heart2」に似た絵柄はどの絵描きも描けるし、「かたわ少女」にも合うと全員が考えました。氏の絵柄はかわいらしく快活ですが、落ち着いていてどこか現実味のあるものでした。

 「narcissu」はゲーム中の感情の使い方が、ライター陣の多くに影響を与えました。ゲーム全体が中心的なプロットを軸に、とても注意深く組み立てられています。そしてプレイヤー自身の気持ちをうまく利用することで、メロドラマ風に陥ったり、テンションを上げすぎたりすることなく、プレイヤーの関心をかき立て、感情を揺り動かすことができていました。

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