アニメ制作現場は戦場

死んでも放映に間に合わせろ! テレビアニメ制作の裏事情

2013.10.08

『化物語』公式サイトより

【メンズサイゾーより】

 Blu-ray Disc2巻の初動売り上げが『けいおん!』1巻を超えてテレビアニメ歴代一位となった、2009年を代表する人気アニメ『化物語』。テレビ放映は全12話で終了したが、もともと全15話で構成されており、残り3話分はネットで無料配信されることになっていた。

 その皮切りとして、第13話「つばさキャット 其ノ參」が去る3日に配信開始となった。だが、当初は10月28日に配信予定だったものが制作スケジュールの都合から2日に変更となり、さらに2日深夜になっても撮影作業や編集作業が行われている様子が、制作スタッフのブログからリアルタイムで実況されるというてんやわんやの有様。配信を待つ2ちゃんねるアニメ板の化物語スレ住人たちが一喜一憂する様がまとめサイトに掲載され、結果的に話題性の高さを見せ付けるかたちとなった。

 このような制作の遅れは、テレビアニメでは決して珍しいことではない。『化物語』を制作しているシャフトはこだわりの強さで定評のある制作会社だが、そのぶんスケジュール進行が逼迫することも多く、2007年に制作した『ひだまりスケッチ』10話では絵が未完成のまま、文字でごまかすなどして放映するという事態に陥ったこともある。『化物語』のテレビ放映版でも、放映当日にもまだ制作途中であることがアニメーターのブログで明らかにされたり、第10話が静止画カットばかりで制作が間に合わなかったのではないかと取り沙汰されたりと、制作体制が苦しいことは視聴者にも伝わっていた。

 さらに、アニメ業界人が集う匿名掲示板の過去ログを漁ると、「放映数時間前納品」などという話はよく出てくる。噂話レベルだが、「放映30分前納品」というものもあったという。極めつきはテレビ局側に納品を拒否された事例で、1998年の『Weiß kreuz』ではあまりのクオリティの低さから、2003年の『ガドガード』では事前チェックが間に合わなかったことから納品されず、放映を「落とす」結果になっている。

 ちなみに放映を落とすと莫大な違約金と代替番組の手配料を請求されてしまうため、何が何でも穴だけは開けないようにと、たとえ未完成の状態でも無理やり放映してしまうのが通常。前述の『ひだまりスケッチ』10話などはそのケースである。急ごしらえの総集編を挿入し、穴を開けることを回避するケースもあり、1997年の『白鯨伝説』は何度も総集編や再放送を挟んだ末、違約金が原因で制作会社の倒産を招き、放映が一時中断してしまった。

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