実のところ、過去5年あまりの間に表現規制に反対する運動はかなり進化していて、実務を担える人間は増えていった。逆に、大言壮語をする人物は「古参」や「マンガ家」を名乗っていても、居場所を失っていっている(特にマンガを描かない自称マンガ家は、そう)。
それでも、いわゆる「痛い」人もやってくる。別の規制問題に詳しい人物はいう。
「二次元規制反対の集まりなんかの時に、突然、アニメキャラのイラストの入った名刺を政治家に配り始めた人がいました。キャラだけならいいんですけど、某アイドル育成ゲームの会社名とかが堂々と入っていたんです」(事情通)
自分の立ち位置をアピールするのならともかく、政治の現場は「なりきり」で遊ぶところではないはず。
「そうした、ちょっと社会人としてどうかと思う人に注意をしても、たいていは逆ギレですね。逆ギレの仕方にも共通項があって“自分は○○なんだ!”と、いうんです。○○の部分は出自なり病気なり、さまざまな社会でマイノリティに置かれている人々を示すキーワードが入ります。どっちが、差別しているのか……本当に腹立たしいです」(同)
表現規制の運動は、ある側面で「どうしようもなく痛い人」の受け皿としても機能してきた。人間関係をうまく構築できない人。絵や文章の技術もない人。オタク語りをする友達もいない人。……もっとも、なにもなくても「規制反対!」といっていれば、参入できたような気分になれるからだ。
ところが、実際にはそんなには甘くない。常に最新の知識も要求されるし、政治的センスも要求される。場合によっては、まったく表現規制に知識がない政治家と話をしなければならないこともあるわけで、人間関係を構築できない人では耐えられるハズもない。いきつく先はツイッターで大言壮語するか、某アイドルゲームよろしく「軍師様」になるしかない……。
規制反対運動は、リアルに自分の価値が問われる場である。
本当に規制反対の意思があるのなら、まず部屋を掃除して、身だしなみを整えるところからスタートしてみたほうがよいのではないだろうか。
(文=昼間 たかし)
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