パクリはお互い様なのか? 『聖☆おにいさん』のパクリ本から見える出版業界の断末魔

 こうした関連本はマンガに関するものばかりではない。歴史系のテレビドラマは、必ず非公式の関連本が登場するジャンルだ。『坂の上の雲』がドラマ化された際には、盛んに関連本が出版されたし、今年の大河ドラマ『八重の桜』(共にNHK)のあわせて新島八重を扱うムックは、いくつもある(表紙に『八重の桜』の文字が入っているが公式ではない)。

 そもそも、出版業界というのはパクリが横行する業界だ。というのも、企画を出すときに「類書」がどうなっているかは、必ずといってよいほど問われる。「このジャンルの本は、点数がこれくらいあって、こんなに売れていますよ」というのが、企画を通す上で重要なのだ。ゆえに、ひとつ売れるジャンルがあると、柳の下のドジョウを狙って次々と、似たような本が出版される。ある出版社の社員は、こんなエピソードを語る。

「かつて『実話ナックルズ』を皮切りに実話誌がブームになった時なんて、デザイナーに“表紙のデザインは、これと同じにして下さい”ってお願いしたこともありますよ。エロ本で熟女ものがブームだった時も、同じことをしましたね。パクってるという意識はあまりありませんよ。お互い様じゃないですかね」

 売れているもののパクリは当たり前。むしろ、売れている本と似たり寄ったりであれば、売り上げの見通しも立つので企画が通りやすい。その結果「ここまでやって大丈夫か?」と思うような非公式の関連本が量産されるのである。しかも、そうした関連本の質はおしなべて低い。モノによっては、ネットからコピペしてきたのではないか? というようなものも。あるフリーライターは関連本の実情について語る。

「原稿料が1ページあたり2000円なんてこともザラです。しかたないので数十ページをまとめてこなすわけですが、資料代も原稿料込みだったりしますから……ネットから拾った情報を、いかにも自分が書いたようにリライトするのが、ライターの腕ですね」

 読み捨て当然の関連本は、低迷する出版業界の最先端なのかもしれない。
(取材・文=緑林学)

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