パクリはお互い様なのか? 『聖☆おにいさん』のパクリ本から見える出版業界の断末魔

1309_saint.jpg『聖☆おにいさん イエスとブッダのパネェ秘密』(英和出版)

 これは、やりすぎ……なのか? 中村光の人気マンガ『聖☆おにいさん』(講談社)の関連本が、あまりにパクリ過ぎではないかと、担当編集からツイートされ話題になっている。

 問題になっているのは英和出版から発売されたムック『聖★おにいさん イエスとブッダのパネェ秘密』だ。この本、帯では「聖人コンビの軌跡から知られたくない過去まで」「最新9巻や外伝の元ネタもバッチリ収録!」と記している。

 いったいどこで売っているのかも謎っぽい本なのだが(筆者は店頭で発見できずAmazonで)、8月には『聖☆おにいさん』の担当編集者がツイッターで、「【大拡散希望】某A和出版から『聖☆おにいいさん』関連本らしきものが出ていますが、まったく関係ありません。事前に連絡もなく、もちろん許諾も強力もしていません。しかし、ロゴも装丁も超絶劣化パクリ……。」と、ツイートしたことで、一気に話題になってしまったのである。しかし、ネットでは、話題になったにも関わらず、その後出版差し止めなど具体的な動きはない。便乗系ムックを多数出版している出版社の社員は語る。

「ちょっと、やりすぎの感はありますけれど、許容の範囲内だと思います。これを公式本だと勘違いするのって、そうとうマヌケな人だと思いますよ」と、話す。

 そもそも、旬の作品に便乗した解説本・謎本を出版するのは出版業界のセオリーのひとつとなっている。

 いわゆる「謎本」の走りとされるのは1992年に飛鳥新社から出版された『磯野家の謎 「サザエさん」に隠された69の驚き』(編:東京サザエさん学会)である。この本は、当然ながら作者には無許可なのだが、本書で紹介されている謎のひとつでは、なぜ『サザエさん』を扱う本なのにサザエさんの画像が一つも使われていないかを、過去の『サザエさん』のパロディや著作権をめぐる問題などを取り上げながら解説していた。

 200万部あまりを売り上げ大ヒットとなったこの本だが、最大の功罪は、元ネタの画像を無断で使ったりしなければ、なんでもアリという実績を残したことにある。

 この当時から「謎本」に味を占めて、最大手となったのがデータハウスだ。同社では『『ドラえもん』の秘密』など「○○の秘密」のタイトルで、旬の作品の研究本を常に出版し続けている。そのラインナップを見ると『To LOVEるの秘密』『NARUTO大研究』『「進撃の巨人」の謎』『「フェアリーテイル」の謎』……と、もはやなんでもアリ! かつては、一見して公式ではないことがわかる装丁だったのだが、近年ではロゴが微妙に似ていたり、かなりギリギリのところで攻めてきている。とはいえ、果たしてこのような書籍がどこまで需要があるのかが、もっとも謎だ。

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