夏コミ中止も!? オリンピック開催決定でコミックマーケットはどうなる?

2013.09.11

どうなるコミケ?(画像は今年の夏コミの様子)

 2020年、オリンピック・パラリンピックの東京開催が決定した。7年後の開催に向けて日本中で期待の膨らむ一方、オタク業界では不安の声も挙がっている。2020年の夏のコミックマーケットが開催できない可能性が高くなっているからだ。

 毎年夏と冬に行われている世界最大の同人誌即売会・コミックマーケットだが、夏に行われるコミックマーケット(以下、夏コミ)は例年、お盆の時期に東京ビッグサイトにて開催されてきた。しかし、オリンピックが開催されれば、会場の利用期間がバッティングすることは確実。そのため、オリンピックの東京開催決定直後より、オタク業界の人々は「2020年は夏コミが中止になるのでは?」と不安を募らせている。

 東京オリンピックに関する現在の計画では、東京ビッグサイトにはレスリング・フェンシング・テコンドーの競技のほか、プレスセンターを設置される予定だ。さらに招致プランでは、この準備のために2019年7月から放送設備などの設置のために占有が可能になるとされている。そのため、2020年の夏だけではなく2019年の夏コミ、冬コミ共に東京ビッグサイトでの開催も危ぶまれている。

 一方で、オリンピックに伴って西ホールの南側に3階層の施設も増設される予定だ。つまり、オリンピックを経ると、使い勝手はともかく会場面積は拡大されるという利点もある。

 果たして、2019~20年の合計3回のコミックマーケットをどのような形で開催すべきか……方法はいくつかある。

 まず考えられるのは、別の施設で開催すること。国内で同等の規模を持つ会場として挙がるのは、千葉県の幕張メッセだ。しかし、幕張メッセは1991年に、既に開催が告知されていたコミックマーケット40に突如貸し出しの中止を通告、あわやコミケ中止が危ぶまれる事態に追い込んだ事件を起こしたことがある施設だ。現在は、同人誌即売会をはじめオタク系イベントも数多く開催されている幕張メッセだが、過去の経緯をみると現実的ではない。

 もうひとつ考えられる現実的な方法は、地方での開催である。過去、コミックマーケットでは「コミケットスペシャル」として春期に地方での特別開催を実施したことがある。2000年の沖縄、2010年の水戸での開催がそれだ。特に2010年の水戸での開催では、空洞化していた水戸の中心街に人があふれかえり、地元の商店からは「次はいつ来てくれるのか」との話もでたという。マンガやアニメを軸にした町おこしが盛んに行われる中で「コミックマーケットが来る!」となれば「ぜひ、うちに」と引き合いは来るかも知れない。それを踏まえてかツイッターでは、早くも「招致合戦」も始まっているようだ。もっとも、水戸では、空いていたデパートだったビルを使用したように、大規模な会場を用意できることが重要であり、実際に開催できるかどうかは未知数だ。

 東京ビッグサイトの利用ができなくなりそうな2019年までは、あと6年ある。その間に、どういった手段をとることができるか、コミケ参加者それぞれが考えなくてはならない時がやってきた。

 もちろん、開催を中止するのもひとつの方法である。コミックマーケットが中止になれば、出展する企業やサークルが経済的に損失を受ける可能性が高いとの危惧もある。しかし、同人誌即売会がビジネスとなっているのは、そもそも妥当なことなのか。元来、コミックマーケットも有志の力によって実現されてきたイベントだ。オリンピックの到来は、同人誌即売会の本質を考える機会を与えてくれたといえるだろう。

 いったい2019、20年のコミケはどうなるのか? 妄想を膨らませることはいくらでもできる。でも、ホントにコミケの参加者ならば、身になる話を考えてはどうだろうか。そうでなくては、単なる「お客様」だ。
(文=昼間 たかし)

編集部オススメ記事

注目のインタビュー記事

人気記事ランキング