『風立ちぬ』喫煙批判をどう思う?「禁煙ファシズム」「ディズニー映画では吸わない」

●圧倒的多数となった反対派の声

 反対理由の中でも多く見られたのが、「時代背景」という視点だ。『風立ちぬ』が描く戦前の社会では、現代よりもはるかに喫煙率が高かった(JTの調査で、最も古いデータとなる昭和40年の男性喫煙率は82%)。「映画は単に時代背景を再現しているだけ」(58歳・男性)と、この時代に生きる人を描くために、タバコを用いるのは問題ないというのが反対派の意見だ。また、フィクションにおける喫煙描写に対して抗議をしていることが「過剰な行動」と受け止められている様子も見られる。「映画のワンシーンについて、とやかく言うのはおかしい。タバコの是非とはまったくの別次元」(48歳・男性)との声も見られる。

 また「ただタバコを吸っているということを批判するのではなく、なぜ登場人物がそのシーンで喫煙したのか心情や社会情勢も考えてほしいと思う」(21歳・女性)と、作品の内容を尊重して反対するコメントや、「これで喫煙を助長させるなら、ほとんどの映画や文学を規制しないといけない。言葉狩りと同じ事をしている」(33歳・男性)、「時代背景の違いを無視し芸術作品にまで口を出すのはある種のファシズム」(65歳・男性)と、表現内容に対して踏み込むことに対する不快感を示す意見も述べられている。

●賛成派からは厳しい指摘

 では、一方の賛成意見をみてみよう。特に賛成の根拠として挙げられるのは、子どもへの影響。大人だけでなく多くの子どもたちも楽しむジブリ作品だからこそ、子どもへの配慮が必要という考えだ。「この映画を見た子どもには悪影響を与えると思う」(23歳・女性)、「子どもも見る可能性のあるものは、古い年代の設定のものでも悪いものは悪いとしたほうがよいのでは……」(46歳・女性)という意見が見られる。

 さらに、「世界が批准している条約違反になるならやめるべき」(55歳・女性)と、国際的な基準を尊重する声や「社会の将来のためにタバコを吸い始める原因となる元をとことん断つ必要がある」(26歳・男性)と、タバコとの接点を根本から断つべしという厳しい意見も見られた。

 また、ジブリ作品と同じく世界に強い影響力を持つディズニー映画と比較して、こんな声も寄せられた。

「ディズニー映画に出てくる子どもや学生はタバコなど吸いませんよね?  それは、自分たちが子どもや世の中にどの程度影響を与えるかなど理解しているからだと思います。ディズニーと同じくらい素晴らしい映画を制作しているにも関わらず、自分たちが与える影響にまで配慮がないというのは本当に残念に思えてなりません」(29歳・女性)
 
 賛成意見を寄せる人の割合は少ないものの、表現の内容そのものよりも、この映画が社会に与える影響力の大きさを心配する声が多い。これも、国民的映画であるジブリ作品だからこそ湧き上がってしまった問題といえるだろう。

 9月1日に引退を発表した宮崎駿氏にとって、『風立ちぬ』が長編アニメ最後の作品となる。これ以上騒動が大きくなり、作品の本質から外れた喫煙シーンが後世における評価に影響するようであれば、監督にとってもファンにとっても不幸な結果なのではないか。
(文=萩原雄太/Business Journal 2013.09.12既出)

『風立ちぬ』喫煙批判をどう思う?「禁煙ファシズム」「ディズニー映画では吸わない」のページです。おたぽるは、アニメ話題・騒動の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!