まどマギをスピ的に解説する PART1

魔法少女まどか☆マギカはガチスピアニメだった!?

【ハピズムより】

――昨年、人気を博したアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』(毎日放送)、通称「まどマギ」。かわいらしい“萌えキャラ”が主人公なのだが、内容は深くて暗く、視聴者全員が意表を突かれた、突然の「残虐シーン」も話題となった。

 クライマックスまで目が離せない難解なストーリーゆえに、物語の解釈について今でも熱い議論が交わされているなか、スピ業界で活躍するとある中年が「まどマギは、ガチスピアニメ! スピ的に解釈すると納得がいく」と豪語。

 大晦日には「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ」(アニプレックス)が一挙上映されるということもあり、通称「スピおじさん」が、まどマギを「仏教」「宇宙人」「アセンション」の3つのスピキーワードを基に、3回に分けて緊急解説する!

■前半から仏教ファクター満載!! 人間の「エゴ」と「ナルシシズム」がテーマ

 最初の10分は、萌えキャラとゆるい展開のせいか、「魔法少女=白魔術師」「魔女=黒魔術師」といった感じで、一見すると「一神教的な天使VS悪魔」の「善悪二元論」的な展開が予想されるが、そんなヌルい設定予想はすぐに覆される。

 前半は、「魔法少女VS魔女」ではなく、人間同士の葛藤やカルマを描くなど、「人間の性(サガ)」を鋭くえぐり、「エゴ」や「ナルシシズム」を描くことに集中しているのだ。魔法少女の力を「自らの欲望を満たすためにのみ使う」と誓い、「他者が犠牲になっても構わない」という佐倉杏子の好戦的な態度や、「自分が愛する恭介の病気を治したい」という願いと引き換えに魔法少女になったさやかが、恭介を友人に取られそうになって自暴自棄になり、大の仲良しだったまどかにつらく当たるシーンなどがまさにソレ。要するに、愛する人のために自己犠牲を払ったつもりが、自分の思い通りの結果が得られなかった時にアンビバレント(=同じ対象に対して愛と憎しみなどの相反する感情を同時に、または交互に抱くこと)な本性が現れるということだ。

 また、スピおじさんから見たら、前半は「仏教的な世界観」も多く織りなされているように見える。たとえば、願いの結果、交通事故から生還したものの、家族もなく1人で孤独に耐えながら魔女と戦い続けるマミの姿や、自分の魂がソウルジェムに封印されてゾンビ状態になっていることを知らされて愕然とするさやかの姿は、仏教的な「無常観」や「因果応報」そのもの。

「絶望の宗教」ともいわれる仏教では、「己が無力である」ことや「この世界にルールはない」という概念は当たり前。しかし、人間はそのことを忘れてしまって「努力すれば、報われるはずだ」「◯◯したから、こうなるはずだ」という変なルールを想定してしまうのだ。まみやさやかも同じで、「何かを犠牲にすれば、幸せになる」と勝手に解釈してしまったうちの1人。しかし、「この世界は、1人1人の思惑とは無関係な“偶然”によって支配されているのである」というメッセージがこのシーンから読み取れる。

 それに、魔女も実体のある姿じゃなくて、どんな人の心の奥にも潜んでいる怒りや妬みみたいなネガティブな感情や欲望といった「化け物」を描写しているように見える。つまり、魔女がそれらをつくりだしているというより「人間のネガティブな集合意識=仏教的にいうと”阿頼耶識(あらやしき)の暗黒性”」が魔女として描かれているのではないか。このアニメには、善悪二元論を超えたメタな視点が取り入れられているということが、ここからもわかるだろう。

 そして、一番仏教っぽいのは、人間の価値観がまったく通用しないキュゥべえが、魔法少女とソウルジェムの関係の真相を明かした際、まどかや杏子が「騙された!」と強く反発したことに対して発したこのセリフ。

「わけがわからないよ。どうして人間はそんなに魂の在り処にこだわるんだい?」

 このセリフは、魂の在りかや行く末が気がかりでしょうがない僕たちの心根、人間の心の深層を浮き彫りにしているんじゃないかな!? ここに「カルマ(輪廻転生)」や仏教的な世界=つまり、人間の本質は魂であり、永遠に続く魂の乗り物としての肉体を持ち、真理に目覚めることによって迷いのない仏の世界に入れるという人生哲学が見て取れるんだ。

 さらに、魔法少女たちの証しであるソウルジェムは「仏教の七宝(鉱物)」のように見えるし、魔女の証しである「グリーフシード」も、どことなく「密教」の法具である「五鈷杵(ごこしょ)」を連想させることにも注目したい。

 また、本編のテーマにもなっている「命と引き換えてまで叶えたい願いが本当にあるの?」という根本的な問いかけは、何かを祈願する前に、自分の本心、つまり潜在意識にフォーカスしてみることの大切さを示しているようにも解釈できる。これは、スピ業界的にも、今最もフィーチャーされていることの1つで、何かの願望達成の際に、「潜在意識」にアクセスするのは絶対条件なんだ。制作側がそれを知って取り入れたのかはわからないが、まさに、「スピ的」を意識しているとしか思えない作品だと思ったよ。

 というわけで、今回はまどか☆マギカに織り込まれている仏教の世界観について触れたけど、このアニメにはほかにも「異星人からの干渉」「アセンション」といったコアなスピ・テーマも含まれているので、それについてはまた次回!
(2012.12.27ハピズム既出)

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