アニメ『フルーツバスケット 2nd season』ネグレクトや虐待…そんな悩みを持つ子供たちの葛藤とは?第18話

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『フルーツバスケット』公式HPより

 今回は原作14巻、78話・79話のエピソード。依鈴回だ。もう見ていて辛い気持ちになってしまう描写が多々あるのだけれど、目をそらしてはいけない。依鈴がなぜ、ハルを拒絶し周り全てを敵に回してなお、動くのか。その話である。

 彼女は誰にも頼らず、一人だけで自分たちに降りかかる呪いを解く方法を探し回っていた。一番何かを知っていそうな紫呉を当たっても、けんもほろろにあしらわれるだけ。

 同じ十二支で、誰もがこの呪いになにがしかの想いを持っているはずなのに、慊人に気に入られているはずなのに、まるで他人事のような態度をとる紫呉に怒りを覚えながらも、彼の持っているであろう情報に頼らざるを得ない状況にいら立ちを募らせる。

 ずっと体調がすぐれないままで、身も心もすり減った状態で情報を求める依鈴を気にかけ、言葉をかけるヒロ。彼は依鈴がまた大きな怪我を目の前で負ってしまうのが恐ろしく、何とか力になろうとするのだが、彼の家庭環境は、依鈴のそれとは大きく違い、それゆえに彼女から拒絶されてしまう。

 それは決してヒロのせいではない。親は子を選べない。家庭環境を選ぶことはできない。だからこそ、依鈴も傷ついてきたのに。

 依鈴の幼少期は、まるで絵にかいたような理想的な家庭だった。いつもニコニコと自分に接してくれる両親。苦しいことも悲しいことも存在しないかのように笑っている両親に、ふと質問を投げかけた依鈴。それがすべてを壊してしまうなんて予想もしていなかった。ただ純粋に、聞いてみたかっただけなのだ。

 「どうしてパパとママはいつも楽しそうなの? ほんとに楽しい?悲しいこととかないの?」

 依鈴の前でいつもニコニコしていた両親の顔が見れたのはこの質問をする前だけ。いこうは二度と見られなくなった。物の怪憑きを生んだ後、苦しみ悩んだ依鈴の両親は無理をして笑顔を張り付け、傍から見ても幸せに映る家庭を演じ続けていたのだ。

 依鈴が発した質問は、彼らの努力を踏みにじるもののように感じられれたのか「誰のために頑張っていると思っているんだ!」という両親の激昂から、彼女の今までの理想的な家族は崩れ去ってしまった。

 それからは両親の顔色を窺い、少しでも怒られそうになると怯え縮こまる生活が続いていた。幸せな家庭がまた戻ってくるという一縷の望みにかけていい子でいようと無理をする生活。

 そんな無理がたたり、通学途中に倒れてしまう。それを発見して助けてくれたのが、潑春だった。ハルは師範を呼び、依鈴を病院へと運び込む。そこから彼女が家で虐待を受けていることが判明してしまう。

 家に帰らないと叱られる、と訴える依鈴を師範は諫めようとするがそこに両親が現れ「お前なんて帰ってこなくていい」と冷たい一言を放たれてしまう。ショックで動けなくなった依鈴の代わりに、両親に向かって怒ってくれたのはハルだった。心から、両親に向かってそんなことをいうなと怒ってくれたハルに心からの感謝を覚えた依鈴。

 その後、神楽の家に引き取られることになったあともハルがこまめに会いに来てくれたことが、依鈴の心を癒していった。どんどん彼に惹かれていくことを実感していたが、それを打ち明けることもできず時がたち、ハルの方から依鈴を求めてくれたことで、二人は恋人同士になる。

 だが、それが慊人に知られてしまった。誰よりも大切な存在になったハル。どちらから誘ったのかと問われ、ハルからだと言ったら大切なハルが傷つけられてしまうかもしれない。そう考えた依鈴は自分がハルを誘ったというと、予想通り慊人の拳が飛んでくる。

 殴られること、ののしられること。それは彼女が体験した両親からの仕打ちを呼び起こす。パニック状態になった依鈴の姿を見て慊人は笑い、そのまま彼女を二階から突き落とす。この時の様子をヒロは目撃してしまったのだ。

 大怪我を負ってしまった依鈴。だが、この時に彼女はハルを守れたという安心感も同時に感じていた。大切なハルにだけは、この物の怪憑きという呪縛や草摩という家、そして縋り付いてしまう自分から解放されてほしい、解放してあげたいという気持ちが膨れ上がり、今現在の依鈴の行動につながっていたのだ。

 紫呉に話を聞こうと上がり込んだ家の中で透くんと遭遇した依鈴は、その姿に母親を重ね、またパニック状態に陥ってしまう。依鈴のつぶやきから何事かを察した透くんは、彼女を休ませそして自らも、何かを決意したような表情を浮かべていた。

 ネグレクトな親を持つ子供の葛藤。フルバのカバー力の広さ…‥。草摩だったり物の怪憑きじゃなくてもこういった親から愛されず虐待を受けていた子どもたちは多く、物語を通して、依鈴のキャラクターが感じている思いなどに共感した読者たちも多いのではないだろうか。ハルの存在、透くんのような存在がそんな人たちの周りにもいてほしいという願いが伝わってくるし、彼女が出会う決断や勇気がそんな人たちの力になってほしいと切に願う。
(文=三澤凛)

アニメ『フルーツバスケット 2nd season』ネグレクトや虐待…そんな悩みを持つ子供たちの葛藤とは?第18話のページです。おたぽるは、アニメ作品レビューの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

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