【インタビュー前編】

面白さとそれっぽさの兼ね合いと歴史警察対策と。歴史監修はいかに行われているのか

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歴史監修のお仕事とは?

 女体化した戦国武将がミニスカートやビキニ姿で関ケ原の合戦をしているようなコンテンツも珍しくない中、一方で「歴史もの」は歴史警察が跋扈する世界でもある。コンテンツの「歴史監修」は果たしてどのように行われているのか。『学研まんがNEW日本の歴史』(学研)のプロットをはじめ、歴史に関する書籍を多数出版し、歴史監修の業務も行う株式会社榎本事務所(http://enomoto-office.com/)、榎本秋氏に「歴史監修」の実態を聞いた。


■最初に行うのが「面白さ」と「それっぽさ」のすり合わせ

――「歴史監修」の仕事として、どのような依頼が来るのでしょうか?

榎本秋氏(以下、榎本)千差万別ですね。「この戦国武将はこういったアクセサリーをつけていて時代的に不自然ではないでしょうか」といったピンポイントな質問から「基本的には創作だから多少フィクションが入ってはいいものの、あまりにも当時の時代背景からすると違和感のあるイラストだけチェックして欲しい」みたいな依頼もあったりします。小説、ゲーム、アニメなど媒体もさまざまです。

 また、毎年夏頃に多いのが翌年のNHK大河ドラマに向けた本です。

――大河ドラマは事前に関連本が沢山出ますよね。

榎本 そういった関連本を出版前に一読し、違和感がないか教えてください、というような依頼もあったりしますね。

――大河ドラマは厳格だと思いますが、今だと歴史上の偉人が女体化してミニスカートを履いていたりとか、コンテンツによって歴史の「それっぽさ」の度合いは大きく異なりますよね。

榎本 ですので、その辺りの温度感の確認は最初に行います。どこまで「それっぽく」するかですね。髪型なども当時のものに忠実に合わせてしまうと、つまらなくなってしまう可能性もありますよね。

――女性向け戦国萌えコンテンツで、全員が剃り跡青々しく髷をきりりと結っていたら、「そこに萌え~」となる人はかなりの好事家に絞られるでしょうね。

榎本 私はあくまで「歴史家」ではなく「歴史が得意な作家兼編集者」という位置づけで監修の仕事を行っています。フィクション作品をより本当っぽく見せるお手伝いですね。

――どの時代の監修依頼が多いですか?

榎本 やはり戦国時代と江戸時代ですね。

 

■「それっぽく」見せるポイントは甲冑と武器と、大河ドラマ

――それっぽく見せるポイントの一例について教えてください。

榎本 例えば戦国ものの場合、防具と武器は重要ですね。1543年に鉄砲が普及したことによって、鉄砲に対応できるよう鎧や具足のデザインが大きく変わったんです。武器も、槍は戦国時代にどんどん長くなっていきました。そういったところはチェックしています。

 また「大河ドラマなど、有名な歴史系コンテンツ」と齟齬がないかも重要なポイントになります。大河ドラマに出てくる事を皆さん本当だと思いますから。違っていると違和感を持たれてしまうんです。

――たとえそれが史実的に本当であろうとも、大河ドラマと違うじゃないかと。

榎本 そうなんです。私は時代小説を書く作家としての仕事もしていますが、江戸時代だとやはり水戸黄門、大岡越前、暴れん坊将軍なんですよね。これらと齟齬があっても、おかしい、と思われてしまいがちです。

――「史実」のほかにも「超有名な歴史コンテンツ」との兼ね合いも求められるんですね。

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