泥棒版『ロミオとジュリエット』 許されぬ恋の行方は?――ドラマ『ルパンの娘』第1話

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フジテレビ系『ルパンの娘』公式サイトより

 アニメ『ルパン三世』を例に出すまでもなく、「泥棒もの」はいつの時代も人気を博している。その魅力は、犯罪に至るまでの動機や心の動きの面白さ、そして、華麗に犯罪が行われた時の爽快感だろう。自分たちが経験することの出来ないことが、物語を通して仮想体験できるのだ。そこには、どこか禁断の楽しさがある。

 また、教師と生徒、医者と患者など「許されぬ恋愛もの」も人気が高い。こちらも、普通に生活していてはなかなか経験できないことだ。ハードルが高いほど恋愛は燃え上がるというが、「許された恋」よりも数段熱い物語がそこには生まれると想像できる。これらの2つの要素をあわせ持ったドラマが、7月11日にスタートした『ルパンの娘』(フジテレビ系)である。面白くならないわけがない。

 

■愛し合う2人を隔てるものは?

 三雲華(深田恭子)は、恋人である桜庭和馬(瀬戸康史)の家で、彼の家族と向き合っていた。しかし、交際の報告をする和馬に対し、家族の反応は冷たい。実は和馬の一家は代々警察官の家系で、図書館勤めをしているという華では、結婚相手としてふさわしくないというのだ。

 一方、和馬が警察官であると知った華も、その運命の皮肉さにショックを受けていた。なぜなら、華の一家は代々泥棒を生業とする家庭だったからだ。

 タワーマンションに住み、食事やお酒、家具までをも盗んで調達する家族に、華はあきれていた。泥棒一家にあっても、華だけは盗みをせず、きちんと働いてお金を稼いでいたのだ。

 家族から結婚に反対されていた和馬は、一つの条件を出し、父に認めてもらおうとする。それは、警視庁のエリート集団「捜査一課」の所属になるというものだった。現在の所属は捜査三課。どうすれば捜査一課に移れるかと、先輩刑事である巻(加藤諒)に相談する。そこで示されたのは、「先祖代々盗みの専門家である『Lの一族』を捕まえる」というもの。そう、その一族こそが、華の家族である。

 ここで、和馬は大きな矛盾に直面することになる。華と結婚するためには、「Lの一族」を捕まえなければならない。しかし、そうすれば華自身が捕まってしまい、結婚できなくなるのだ。もちろん、和馬はそのジレンマに気づいていない。見ている者は、この展開がどう崩れていくのか、手に汗握ることになる。

 真面目に図書館に勤め、盗みには手を染めていない華だったが、実は腕は確かだった。祖父の巌(麿赤兒)に、幼い頃から特訓を受け、泥棒としての腕を磨いてきたのだ。ただ、その頃、祖父から言われた「盗むことで何かを変えられる日が来る」という言葉。華はその真意を掴みきれずにいた。

 そんなある日、和馬は宝石店の強盗事件にからみ、暴力団の事務所に捕らえられてしまう。それを知った華は、父・尊(渡部篤郎)と、母・悦子(小沢真珠)に、和馬を助けてほしいと頼み込む。返ってきた答えは、「もう1人手伝ってくれる人がいれば……」というものだった。もちろん、他の誰でもない華に協力してほしいということだ。

 ここでは華がジレンマに陥る。両親の手助けをすれば、自分も泥棒ということになる。しかし、助けなければ和馬は命を奪われてしまうかもしれないのだ。

 悩んだ末、華の出した結論は、両親とともに和馬を救出に向かうというものだった。

 

■とにかく“濃い”キャラクター陣

 泥棒になるため、華は“変身”する。アイマスクをつけ、ボディスーツに身を包み、ポーズを決める。何しろ妖艶でかっこいい! これぞ深田恭子の本領発揮だ。普段は地味で普通の華が、泥棒になって派手な活躍をする。演じる役によって、地味な女性にもエキセントリックな女性にもなりきる深田の魅力そのものである。

 首尾よく事務所に忍び込んだ華。そこで、死に直面した和馬が華への想いを語るのを聞いてしまう。深い愛情に感激するが、その想いが強ければ強いほど、自分と和馬の距離の遠さを感じずにはいられなくなるのだ。

 和馬への想いの強さもあり、無事に相手を倒し、和馬を助けることに成功。うまい具合に和馬には気づかれていない。最終的に悪党の組織は皆逮捕され、事務所にあった拳銃なども押収されることとなる。華は、もしやこの組織を世間に知らしめるために、両親が盗みを働いたのではないかと疑う。だとすれば、そこには勧善懲悪の思いが込められている。祖父に教えられた、「盗むことで何かを変えられる日」という言葉にも通ずるものがあるかもしれない。

 第1話ということもあり、キャストの自己紹介的なシーンも多かったが、とにかくみんなキャラが濃い! よくぞここまで集めたという感じだ。普段であれば、濃いめのキャラクターで出てくる、華の兄役の栗原類や、祖母役のどんぐりがまだ普通に見える。麿赤兒や、和馬の祖父役の藤岡弘、、いきなりミュージカルを始める華の幼馴染み・円城寺(大貫勇輔)、さらに今回は藤原喜明組長まで登場した。見た感じでいえば、普通のカップルである華と和馬と、脇を固める個性派の面々のギャップが面白さに拍車をかけている。

 こうして、許されぬ恋に走り出した和馬と華。この関係に象徴されるように、人生や恋愛は矛盾に満ちている。その矛盾と相対した時、どんな行動を取るかで運命は変わってくるのだろう。刑事と泥棒、二人はこれから一体どうやって運命に立ち向かっていくのだろうか。

(文=プレヤード)

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