華山みおの物語探索その19

『文学処女 』(中野まや花)本で「知る」のとリアルに「分かる」のは大きく違う…恋に憧れる女と過去の恋に囚われた男の恋模様が文学的!?

 初めて本に触れたのっていつだか覚えていますか?

 まだ文字も読めなかったころから、お母さんに絵本を読んでもらうことが大好きでした。字が読めるようになったら手持ちの絵本を読み漁り、大人が読んでいる本を羨ましがり、読めもしないのに色々な本に手を出していました。

 ハードカバーで初めて“自分の本”になったのはミヒャエル・エンデの『モモ』。大人の本だー! と喜んで、物語にどっぷりとハマったことを今も覚えています。

“全部知ってる。 本でみたことのある文字
 本で読んだ事のある感情… だけど「知ってる」と「分かる」は違うんだな……”

 これは、本日のレビューする中野まや花先生の『恋愛処女』に出てくる台詞です。

 本が好きで、物語の中で恋に触れることはあれど、自身は“恋”を経験したことのない女性が、人気小説かの担当編集となることで、恋やそれに付随する欲を知っていく物語。その物語の中で最高に共感したのがこの台詞です。

 本の中で初めて知る感情ってたくさんあります。人を殺したいほど憎いと思ったり、心からの後悔を持って生きたり、信念を持って突き進んだり、登場人物たちの心情がていねいに描写された文章を読んでいると、次第にその世界に引っ張り込まれ、彼らの感情を「知って」いきます。

 だけど、体験したわけではなありません。自分がいつしか、その登場人物が辿った出来事を体験したときに「分かる」のです。

 私は恋も愛も全部、物語で知りました。なんでそんなことしちゃうの!? そんなことしたら嫌われちゃうよ! もうー! なんて紙面に向かって分かった様な口をきいたものです。だけど自分が同じ立場に置かれたら、私は物語の登場人物の誰よりも愚かな行動を取っていました……。恥ずかしい。

 主人公の月白鹿子は、26年間の人生の中で数多くの本の中で出会い憧れて来た“恋”を現実で知り、あれこれを体験していきます。その体験の仕方がちょっと特殊というか、「羨ましいなこの野郎!」という感じもするのですが……。

 物語のようにスマートじゃなく、苦しくて辛くて泣いたり翻弄されたりを繰り返していく中で、ぐちゃぐちゃになってもがいている様は、恋を体験したことのある人にはとても共感できて愛着が湧いてしまうはずです。

 本の中みたいには解決しないことや、助けてくれる登場人物とかいないし、急に数年後に飛べたりしないんですよね。現実って……。

 鹿子に共感する場面が多い反面、男性キャラクターにはちょっと夢を詰め込み過ぎている感じが否めないのですが、少女漫画として恋してしまうスペックの男性像を考えたらこうなるのもうなずける……。共感もしたいけど夢もみたい! その両方を美味しく叶えてくれます。

 そして、TVドラマの放送も始まりましたね! 1話を観たのですが、加賀谷先生がめちゃくちゃセクシーでした! 音楽や動きがつくことでよりドキドキ感が増していてとても面白く、ドラマも原作もどちらも続きが楽しみです。
(文=華山みお)

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文学処女 1
掲載誌/レーベル:LINEマンガ
著者:中野まや花
出版社:LINE

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