高橋留美子の人気コミック『うる星やつら』(小学館)を換骨奪胎した劇場アニメでブレイク、ゆうきまさみらとの共作『機動警察パトレイバー』でその世界観を確立し、士郎正宗原作『攻殻機動隊』(講談社)で世界に名を轟かせた押井守監督。既成のキャラクターたちを自在に操ることで独自の世界観を表現してみせた押井監督は、日本から世界へ広まりつつある“オタク文化”を語る上で最も重要なクリエイターのひとりだ。そんな押井監督が国際的マーケットを狙って90年代後半に取り組んだ野心的な企画が、パイロット版まで作られていた『ガルム戦記』。制作費60億円とも80億円とも噂された『ガルム戦記』は一度座礁してしまったものの、タフな生命力を宿していたこの企画は、CG技術の進化した2012年に日本とカナダの合作映画として再スタート。オールカナダロケによる実写ファンタジー『ガルム・ウォーズ』として14年に完成した。
日本での一般公開がなかなか決まらず、押井監督が「デラックスな『アサルト・ガールズ』だよ」と発言したこともあって、ファンをハラハラさせていた『ガルム・ウォーズ』だが、それは杞憂だった。もちろん、『立喰師列伝』のように難解すぎて、観客に苦行を強いる内容ではない。押井監督が英語圏の俳優たちを演出し、現地スタッフをディレクションして撮り上げた本作は、押井作品上もっともスケール感のある壮大なファンタジーに仕上がっている。空を飛ぶ巡洋艦、鳥にように羽ばたく戦闘機、クローン人間たちが眠りに就く睡眠巣などのビジュアルはSFマニアのイマジネーションを大いに刺激してくれる。主人公である女戦士カラ(メラリー・サンピエール)は押井作品のヒロインらしい黒髪のオカッパヘアであり、犬(バセットハウンド)が主人公たちを祝福する神の役割を担うなど、押井作品ならではの刻印がいたるところに押されている。
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