プレイ動画を見ただけで判断!? “残虐ゲーム規制法案”をぶちあげた松沢成文参院議員がすがる“過去の栄光”

「残虐なゲーム規制を含む有害図書の指定を、新たな立法措置によって全国一律の規制にしていくことも、私は検討していくべきじゃないかと思っています」

 5月19日、参議院の文教科学委員会で次世代の党の松沢成文議員が、残虐なゲームに対して、立法による規制を求める質問を行い、注目を集めた。かつて神奈川県知事時代に、全国で初めてテレビゲームの有害図書指定を成し遂げた実績を持つ松沢議員は、再び過去の栄光で成果を得ようとしているのか――。

 この日、質問に立った松沢議員が残虐ゲームの例としてあげたのは『グランド・セフト・オート』シリーズ。ギャングの主人公を操作してミッションをクリアしていくこの作品は、通行人を殺傷することもできるなど、その自由度の高さで知られている作品だ。世界に多くの愛好者を持つ一方、ゲームの世界で数々の犯罪行為を犯すことも可能なため、非難されることも多いタイトルだ。

 松沢議員が、このタイトルを例に挙げて語ったのは、自身の神奈川県知事時代の実績だ。

「私、知事だった時に、この残虐な内容が含まれている『グランド・セフト・オートIII』というね、この家庭用のゲームソフトを、県の青少年保護育成条例の有害図書に初めて全国で指定したんです。

(この有害図書指定は)全国で初めてのケースとして注目をされたんですが、これによって18歳未満の青少年の販売が禁止されることに加えて、ほかのソフトと区別して陳列することが、販売店には義務付けられたんです」

 神奈川県による初のゲームへの有害図書指定が行われたのは、2005年5月のことだ。背景にあったのは、当時発生していたいくつかの残虐な事件と「ゲーム脳」といった“疑似科学”のブームである。当時、取材に応じた神奈川県青少年課の林敬人副課長は、次のように語っている。

「ゲームが有害だとする科学的根拠はないが、社会通念上、何かしら影響があるとされる」

 つまり「ゲームは有害」という世のブームに乗っかっていることを隠そうとはしなかった。

 この年の5月、神奈川県が『グランド・セフト・オートIII』を有害指定したのをきっかけに、全国の自治体でもゲームを有害指定しようとする動きは強まる。同年6月には上田清司埼玉県知事が、首都圏八都県市での有害図書に関する条例の共通化とゲームの規制を主張。9月には埼玉県でも『グランド・セフト・オートIII』が有害図書に指定された。10月には京都・大阪・兵庫でもゲームの有害指定が検討されるなど、この動きは全国に広がっていった。

 ところが、いくつかの自治体が『グランド・セフト・オートIII』を有害図書に指定した以外、ゲームの有害図書指定が広がることはなかった。その理由は、今回、松沢議員の質問中の言葉からも明らかだ。

「大臣も忙しいでしょうし、コンピューターゲームやってる暇ないですよね。ただ、私もこの問題に取り組むようになって、10年ぐらい前でしたけど、(ゲームを)やったことなかったんで、スタッフに全部やってるとこ見さしてもらって。まあ、すさまじい残虐性、残酷性ですね」

 自分で『グランド・セフト・オートIII』をプレイしたことがない、と話した松沢議員。当時、神奈川県で有害指定の審議にあたった神奈川県児童福祉審議会の委員も同様。審議の場では、事前に録画された県の職員によるプレイ動画を視聴するだけだったのだ。

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