『青鬼』『ゆめにっき』に続け!? 同人ホラーゲームは、コンテンツ業界の“救世主”となるか?

1408_horror1.jpgProject Yumenikki公式ページより。

 夏の風物詩といえば“テレビの心霊特集”が定番……だったのは昔の話。最近はめっきりホラー系の番組も少なくなり、洋画劇場でスプラッター映画がお茶の間に流れることも減った。その代わり「ニコニコ動画」などを中心地に、“ホラーゲームがネットで人気を博して広くメディアミックスされる”現象が目立つようになってきた。

 現在公開中のホラー映画『青鬼』は、ネットから人気に火がついたホラー作品の代表格だ。原作はnoprops氏により開発されたフリーゲーム(http://mygames888.info/)。バケモノ(青鬼)の追跡を逃れながら洋館を脱出するという典型的な脱出ゲームながら恐怖心を煽りたてる演出が非常にうまく、何よりタイトルにもなっている“青鬼”のビジュアルが秀逸だ。数多のプレイヤーを震え上がらせ、Youtubeやニコニコ動画に多くのプレイ動画がアップされた。2013年にノベライズ、2014年には実写映画化と、順調にメディアミックスが進行している。

 同じように展開された作品としては、『ゆめにっき』も有名。ききやま氏が開発したフリーのホラーゲームで、初出は2004年と『青鬼』よりも早い。こちらは直接的な恐怖演出というより、主人公の少女が“夢の中を探索する”サイコホラー風味のゲーム。少女が迷い込む夢はカラフルを通り越してグロテスク&サイケデリックともいえる世界で、あらゆるマップ・背景・登場キャラクターが狂気に満ちた表現で描かれている(エンディングまで見ればその理由もある程度納得できる)。プレイするには相当の精神力が要求されるが、独特な世界観に魅せられたファンは数知れず、ユーザーによるプレイ動画だけでなく多種多様なMAD動画もアップロードされている。そうしたネット人気を受け、2013年に「Project Yumenikki」(http://yumenikki.net/)がスタート。ノベライズ、コミカライズ、グッズ発売など総合的なコンテンツとして商用展開されるようになった。

1408_horror2.jpg『DeathForest』は「ニコニコ動画」などで関連動画が続々投稿されている。

 そして今年7月からは、『青鬼』『ゆめにっき』に続く(かもしれない)フリーのホラーゲーム『DeathForest~森からの脱出~』(http://www.freem.ne.jp/win/game/7158)が登場し、これまたニコニコ動画を中心に話題となっている。主人公の青年が夜の森から脱出を目指す流れは『青鬼』と似ているが、本作は3Dゲームとなっており、より臨場感あふれるホラー演出を楽しめるのが特徴。いたるところで襲ってくる顔だけのバケモノ「ヨシエ」がトラウマ必至の怖さで、実況動画からはプレイヤーたちの悲鳴が絶えない。まだ登場間もないためメディアミックスの話は聞かれないが、今後の注目株の1つだと予想される。

 これら完全フリーで配布されていたゲームに限らず、『ひぐらしのなく頃に』『コープスパーティー』のように大ヒットを飛ばすホラー系の同人ゲームは少なくない。映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『パラノーマル・アクティビティ』しかり、とにかくホラーというのは斬新なアイディアがあれば予算や製作規模に関わらず、時代の寵児になれるジャンルとされている。

 近年のコンテンツ業界は、大画面テレビの普及やゲーム専用機の高性能化などハードウェア面で大きな進歩を遂げたが、反面で製作費の高騰、そして原作の枯渇など深刻な悩みも叫ばれている。せっかくクリエイターたちが完成させた作品も「グラフィックとムービー画面だけは立派だけど内容はスカスカ」「萌えキャラと人気声優に頼りすぎ」などと酷評されがちだ。そうした風潮の中で、“中身で勝負”を懸ける「ホラーゲーム」がどこまで業界を引っ張っていけるか、これからの展開に注目したい。
(文/浜田六郎)

青鬼

青鬼

貞子しかり、特徴的な幽霊でキャラクタービジネスも望めます。

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